ST・OTが児童発達支援で働くと年収はいくら?病院との比較
言語聴覚士(ST)や作業療法士(OT)の活躍の場は病院だけではありません。近年、児童発達支援や放課後等デイサービスなどの障害児通所支援事業所でST・OTの需要が急増しています。「転職すると年収は上がる?下がる?」「非常勤でも十分稼げる?」——そんな疑問にデータをもとにお答えします。
ST・OTの年収比較:病院 vs 児童発達支援
まずは常勤で働いた場合の年収を比較しましょう。
| 項目 | 病院勤務 | 児童発達支援 |
|---|---|---|
| ST 初年度年収 | 320〜360万円 | 330〜380万円 |
| ST 5年目年収 | 370〜420万円 | 380〜440万円 |
| ST 10年目年収 | 420〜480万円 | 400〜470万円 |
| OT 初年度年収 | 310〜350万円 | 320〜370万円 |
| OT 5年目年収 | 360〜410万円 | 370〜430万円 |
| OT 10年目年収 | 410〜470万円 | 390〜460万円 |
意外にも、初年度〜5年目では児発の方が年収が高いケースが目立ちます。これは、児発事業所がST・OTの採用に苦戦しており、人材確保のために好条件を提示していることが背景にあります。一方、10年目以降は病院の方がやや高くなる傾向があり、これは病院の昇給制度が安定していることが理由です。
なぜ児発の方が年収が高い場合があるのか
児童発達支援事業所でST・OTの待遇が良い理由は、報酬構造にあります。
- 専門的支援加算:ST・OT・PTなどの専門職が個別支援を行った場合、1回あたり187単位(約1,870円)の加算が得られます。この収益が人件費に反映されます。
- 人材の希少性:ST・OTの養成校の定員は限られており、児発への就職を選ぶ人はまだ少数派。需要と供給のギャップが待遇を押し上げています。
- 処遇改善加算:福祉系の加算制度により、病院にはない上乗せ報酬を受けられます。
非常勤・パートの時給相場
ST・OTは非常勤でも高時給が期待できる職種です。
| 職種 | 病院(非常勤) | 児発(非常勤) |
|---|---|---|
| 言語聴覚士(ST) | 1,800〜2,500円 | 2,000〜3,000円 |
| 作業療法士(OT) | 1,700〜2,300円 | 1,800〜2,800円 |
児発での非常勤は、週2〜3日の勤務で月10〜15万円を稼ぐことも可能です。病院の常勤勤務と掛け持ちする「Wワーク」スタイルも増えています。
ST・OTが児発に転職するメリット
1. 子どもの成長を間近で実感できる
病院では限られた回数しか関われない患者さんも多いですが、児発では同じ子どもと長期間にわたって関わります。「話せなかった子が単語を言えるようになった」「箸が使えるようになった」——そうした成長を継続的に見守れるのは大きなやりがいです。
2. ワークライフバランスの改善
病院勤務では夜勤や休日出勤がある場合もありますが、児発は基本的に日勤のみ。土日休みの事業所も多く、規則的な生活を送りやすいです。
3. マネジメントへのキャリアパス
児発管(児童発達支援管理責任者)の資格要件では、STやOTの実務経験は「有資格者ルート」に該当し、最短3年で基礎研修の受講資格を得られます。管理者を兼務すれば年収450〜550万円も視野に入ります。
ST・OTが児発に転職するデメリット
1. 同職種の同僚が少ない
病院では同じ職種のチームで働けますが、児発ではSTやOTは事業所に1〜2名しかいないことが多いです。専門的な相談がしにくく、スキルアップが自己研鑽に依存する面があります。
2. 医療行為の範囲が限られる
児発は医療機関ではないため、嚥下造影検査(VF)や医師の処方に基づくリハビリ等は実施できません。臨床スキルを維持したい場合は、病院との掛け持ちを検討するとよいでしょう。
3. 昇給カーブがゆるやかな場合も
小規模な事業所では給与テーブルが整備されておらず、10年以上勤めても昇給がわずかというケースもあります。転職時には昇給制度の有無を必ず確認しましょう。
転職を成功させるポイント
- 見学で療育内容を確認:事業所ごとに療育の質には大きな差があります。自分の専門性を活かせる環境か、見学で確かめましょう。
- 加算の取得状況をチェック:専門的支援加算を取得している事業所は、ST・OTの貢献を数値で評価しています。待遇にも反映されやすいです。
- 法人の規模と経営状況:複数事業所を運営する法人は経営が安定しており、研修制度や福利厚生も充実している傾向があります。
よくある質問(FAQ)
Q. ST・OTの経験がなくても児発で働けますか?
ST・OTの国家資格を持っていれば、小児領域の経験がなくても応募可能な求人は多数あります。成人のリハビリ経験で培ったアセスメント力やプログラム作成のスキルは、児発でも十分に活かせます。入職後に発達領域の研修を受けられる事業所を選ぶと安心です。
Q. PTも児発で需要がありますか?
はい、理学療法士(PT)も需要があります。特に肢体不自由や運動発達の遅れがある子どもへの支援で活躍しています。ただし、ST・OTと比べると児発での求人数は少なめです。PTの専門性を活かしたい場合は、重症心身障害児を対象とした事業所を探すとマッチしやすいでしょう。
Q. 病院と児発を掛け持ちするのは可能ですか?
可能です。病院で常勤として週4日勤務し、児発で非常勤として週1日勤務するスタイルの方も増えています。ただし、病院側の就業規則で副業が認められているか確認が必要です。また、掛け持ちで得た児発での経験が、病院でのリハビリにも良いフィードバックをもたらすという声も多く聞かれます。