現役児発管に聞く、この仕事のやりがいと大変さ
児童発達支援管理責任者(児発管)は、児童発達支援事業所や放課後等デイサービスにおいて、支援の質の要となる存在です。しかし、その具体的な仕事内容ややりがい、悩みについてはあまり知られていません。今回は、児発管として10年のキャリアを持つA.Kさん(40代・女性)にお話を伺いました。
児発管になったきっかけ
——児発管になるまでの経歴を教えてください。
「もともと保育士として保育園で8年間働いていました。そこで発達に課題のあるお子さんを担当したことがきっかけで、療育の世界に興味を持ちました。児童発達支援事業所に転職し、児童指導員として3年間経験を積んだ後、研修を受けて児発管の資格を取得しました。」
——保育士から児発管への転身は多いのでしょうか?
「多いですね。保育士としてのスキルは療育の現場でも大いに活かせます。子どもとの関わり方の基盤ができているので、そこに障害特性の知識を加えていく形です。ただ、児発管は管理業務も多いので、保育の延長だけでは務まらないと感じています。」
児発管の仕事内容
——具体的な1日のスケジュールを教えてください。
「午前中は個別支援計画の作成や見直し、関係機関との連絡が中心です。午後はお子さんが来所してからの支援に入りつつ、スタッフへの助言や保護者との面談を行います。夕方以降は記録の確認や翌日の準備ですね。」
主な業務内容をまとめると以下のとおりです。
- 個別支援計画の作成・見直し(アセスメント、モニタリング)
- スタッフへの技術的指導・助言(スーパーバイズ)
- 保護者との面談・相談対応
- 関係機関(学校、医療機関、相談支援事業所等)との連携
- 支援内容の質の管理
- 新規利用者のアセスメントと受け入れ判断
やりがいを感じるとき
——この仕事のやりがいは何ですか?
「やはり、お子さんの成長を間近で見られることです。半年前まで一言も話さなかったお子さんが『先生、おはよう』って言ってくれたときは、泣きそうになりました。」
「もうひとつは、保護者の方の表情が変わる瞬間ですね。最初は不安そうだった方が、お子さんの成長を実感して笑顔になる。『ここに通わせてよかった』と言われると、この仕事をしていてよかったと心から思います。」
「あと、スタッフが成長する姿もうれしいです。新人だった子が自信を持って支援できるようになったり、『先生の教え方を真似してみたらうまくいきました』と報告してくれたりすると、チーム全体でいい支援ができているなと感じます。」
大変なこと・課題
——逆に大変なことは何ですか?
「正直に言うと、業務量の多さです。個別支援計画の作成だけでも、一人ひとりに丁寧に向き合うと相当な時間がかかります。さらに書類作成、関係機関との調整、スタッフのマネジメント……。どれも手を抜けないので、残業が続くことがあります。」
「スタッフの離職も大きな課題です。せっかく育てた人材が辞めてしまうと、チームの力が一気に落ちます。残ったスタッフの負担も増えるので、悪循環に陥りやすい。人を大切にする経営が本当に重要だと痛感しています。」
「保護者対応で悩むこともあります。お子さんへの思いが強いからこそ、事業所に対する要望が高くなる。期待にすべて応えたいけれど、現実的にできることとできないことがある。そのバランスを取るのは簡単ではありません。」
これから児発管を目指す人へ
——児発管を目指している方にメッセージをお願いします。
「児発管は大変な仕事ですが、子どもの人生に直接関わる、とてもかけがえのない仕事です。『この子の未来を一緒につくっている』という実感は、他の仕事では得られないものだと思います。」
「大切なのは、常に学び続ける姿勢です。発達支援の知識はもちろん、マネジメントスキル、コミュニケーション力も必要です。最初から完璧にできる人はいません。経験の中で少しずつ成長していけばいいと思います。」
「あと、一人で抱え込まないこと。他の児発管との横のつながりを大切にしてください。研修や勉強会で知り合った仲間に相談できることが、長くこの仕事を続けるコツだと思います。」
よくある質問(FAQ)
Q. 児発管の年収はどのくらいですか?
地域や事業所の規模によって異なりますが、一般的には350万〜500万円程度です。処遇改善加算を十分に活用している事業所では、さらに高い水準のところもあります。管理者を兼務する場合は手当がつくケースが多いです。経験年数やスキルによって昇給の幅がある職種です。
Q. 児発管になるにはどのくらいの期間がかかりますか?
実務経験の要件を満たすまでに最短で5年(相談支援・直接支援業務等の組み合わせによる)、その後、基礎研修と実践研修の受講が必要です。研修自体は数日間ですが、各都道府県が実施するため受講の順番待ちがある場合もあります。計画的にキャリアを積んでいくことをおすすめします。