学習障害(LD/SLD)の種類と学習支援のポイント
「字を読むのが極端に遅い」「算数だけがどうしてもできない」――知的な遅れがないのに特定の学習だけが著しく困難な場合、学習障害(LD/SLD)の可能性があります。この記事では、学習障害の種類や特徴、家庭でできる支援のポイントを解説します。
学習障害(LD/SLD)とは
学習障害は、全般的な知的発達には問題がないにもかかわらず、「読む」「書く」「計算する」といった特定の学習能力に著しい困難がある状態をいいます。英語では「Learning Disability(LD)」や「Specific Learning Disorder(SLD)」と呼ばれます。
文部科学省の調査では、通常学級に在籍する児童生徒の約4.5%に学習面での著しい困難があるとされています。決して珍しいものではなく、早めに気づいて適切な支援を行うことが大切です。
学習障害の3つのタイプ
読字障害(ディスレクシア)
文字を読むことに著しい困難がある状態です。学習障害の中で最も多いタイプです。
- 文字を一文字ずつしか読めず、なめらかに読めない
- 似た文字(「は」と「ほ」など)を混同する
- 行を飛ばしたり、同じ行を繰り返し読んでしまう
- 読んだ内容の理解が追いつかない
書字障害(ディスグラフィア)
文字を書くことに著しい困難がある状態です。
- 文字の形が整わない、鏡文字になる
- 漢字を覚えることが極端に苦手
- 板書の書き写しに時間がかかりすぎる
- 作文や文章を書くことが著しく困難
算数障害(ディスカリキュリア)
計算や数の概念の理解に著しい困難がある状態です。
- 簡単な足し算・引き算でも指を使わないとできない
- 繰り上がり・繰り下がりの理解が困難
- 文章問題の意味を数式に変換できない
- 時計の読み方や金銭の計算が苦手
学習障害の見つけ方
学習障害は、就学前から気づくことは難しく、多くの場合、小学校に入って本格的な学習が始まってから顕著になります。以下のようなサインが見られたら、学校の先生や専門機関に相談しましょう。
- 特定の教科だけが極端にできない
- 努力しているのに成果が出ない
- 同じ間違いを繰り返す
- 宿題に極端に時間がかかる
- 学習に対する意欲が急激に低下した
「怠けている」「やる気がない」と誤解されやすいですが、お子さま本人は一生懸命取り組んでいることがほとんどです。周囲の理解と適切な支援が何よりも重要です。
家庭でできる学習支援
読みへの支援
定規やリーディングトラッカー(読む行だけが見える道具)を使って行を追いやすくする、教科書の文字を拡大コピーする、音声教材を活用するなどが効果的です。デジタル教材では読み上げ機能を使うのもおすすめです。
書きへの支援
マス目の大きいノートを使う、なぞり書きから段階的に練習する、タブレットの入力に切り替えるなどの工夫があります。漢字の学習では、部首ごとに分解して覚えたり、語呂合わせを使ったりする方法が有効です。
計算への支援
数を視覚的に理解できるよう、おはじきやブロックなどの具体物を使いましょう。百玉そろばんや数直線も効果的です。計算の手順を書いたカードを見ながら解く方法もおすすめです。
合理的配慮の活用
学校では「合理的配慮」として、テストの時間延長、拡大版のプリント、ICT機器の使用許可などを申請できます。担任の先生や特別支援コーディネーターに相談し、お子さまに合った配慮を一緒に考えてもらいましょう。
よくある質問(FAQ)
Q. 学習障害は知的障害とは違うのですか?
はい、異なります。学習障害は全般的な知的発達には問題がなく、特定の学習領域だけに著しい困難がある状態です。お子さまの知能は正常範囲ですが、脳の情報処理の仕方に偏りがあるために特定の学習が難しくなっています。
Q. 学習障害の診断はどこで受けられますか?
小児神経科や発達外来のある病院、児童精神科などで診断を受けることができます。まずは学校のスクールカウンセラーや特別支援コーディネーターに相談し、適切な医療機関を紹介してもらうとスムーズです。知能検査(WISCなど)や学力検査を通じて、お子さまの得意・不得意のプロフィールを把握します。