運営・安全

感染症・食中毒 対応マニュアル + 記録様式

発生時の対応手順、行政への報告、保護者への連絡文例、日常の衛生管理チェックをまとめています。

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発生時の記録と保護者連絡の文例は定型様式が無く、発生してから慌てやすい。

収録内容

  • ・発生時 対応フロー
  • ・行政報告様式
  • ・保護者連絡 文例
  • ・再開判断の基準
  • ・日常の衛生管理チェック表
  • ・年2回の研修記録様式

制度の解説

1. 単位数・報酬 ── 感染症対策が報酬に効いてくる2か所

感染症・食中毒対策そのものに加算はありません。報酬に直接効くのは「BCP未策定の減算」と「感染症による欠席への加算」の2つです。ここを取り違えると、対策はやっているのに毎月1%削られます。

令和8年度報酬改定との関係:令和8年度改定(告示122号の令和8年こども家庭庁告示第5号による改正、留意事項通知は令和8年3月31日こ支障第88号による改正)は、福祉・介護職員等処遇改善加算の見直しと、令和8年6月1日以降に新たに指定を受けた事業所への臨時応急的な報酬単価が中心です。後者は所定単位数に代えて、児童発達支援は1000分の988、放課後等デイサービスは1000分の982に相当する単位数を算定するもので、各種加算がなされる前の単位数に適用されます(加算を含めた合計単位数の988/982ではありません)。主として重症心身障害児を通わせる事業所、平成27年厚生労働省告示第182号の地域に主たる事業所がある場合、都道府県知事が地域に特に必要と認める事業所は適用外です。また同一月に医療的ケア区分1〜3を1日以上算定した障害児、強度行動障害児支援加算・人工内耳装用児支援加算・視覚聴覚言語機能障害児支援加算を1日以上算定した障害児は所定単位数で算定します。本章で扱う欠席時対応加算94単位・月4回/8回と、業務継続計画未策定減算の100分の1に変更はありません。該当する事業所は、90_計算欄①の「当月の基本報酬の合計単位数(各種加算を含まない)」に988/1000・982/1000適用後の値を入れてください。

1-1 業務継続計画未策定減算

感染症BCPがないと基本報酬の1%が毎月引かれます。

サービス減算率減算の条件告示上の位置
児童発達支援所定単位数の100分の1指定通所基準第38条の2第1項の基準を満たしていない場合平成24年厚生労働省告示第122号 別表 障害児通所給付費等単位数表 第1の1 注6
放課後等デイサービス所定単位数の100分の1同上(第71条において準用)同 別表 第3の1 注6の3
居宅訪問型児童発達支援所定単位数の100分の1同上(第71条の14において準用)同 別表 第4の1 注7
保育所等訪問支援所定単位数の100分の1同上(第79条において準用)同 別表 第5の1 注6

適用時期:令和6年3月15日こども家庭庁告示第3号 附則第2条により、令和7年3月31日までの間は上記各注を適用しないとされていました。ただし同条ただし書により、「感染症の予防及びまん延の防止のための指針」および「非常災害に関する具体的計画」を策定していない事業所は経過措置の対象外です。令和7年4月1日以降は経過措置がありません。

取り違えやすい点:減算の条件は「第38条の2第1項の基準を満たしていない場合」です。同項は感染症と非常災害の両方を対象にしているため、災害BCPだけ作って感染症BCPがない場合も減算に該当します。また同項は「策定し、当該業務継続計画に従い必要な措置を講じなければならない」と規定しており、作っただけで運用実態がない状態も基準を満たさないと解されます。

1-2 欠席時対応加算

感染症による急な欠席への対応が加算になります。

サービス単位数上限告示上の位置
児童発達支援94単位障害児1人につき 1月4回告示122号 別表 第1の7
放課後等デイサービス94単位就学児1人につき 1月4回同 別表 第3の5

上限は児童ごとです。事業所全体で月4回ではありません。告示の注は「指定児童発達支援等を利用する障害児が…急病等によりその利用を中止した場合において…記録した場合に、1月につき4回を限度として、所定単位数を算定する」と、障害児を主語にして書かれています。国保連請求も児童ごとに立てるため、上限は児童ごとに当たります。流行期に事業所全体で当日欠席が4件を超えても、児童ごとに4回までは算定できます。

上限が8回になる例外:重症心身障害児を対象とする区分(児発は「1のハ」、放デイは「1のロ」)を算定する事業所において、その月に利用した障害児の数を「利用定員 × 当該月の営業日数」で除して得た率が100分の80に満たない場合、1月につき8回を限度とします。留意事項通知2の(1)⑪(三)は、この場合の8回を「重症心身障害児に限り」としています。一般の児発・放デイは月4回が上限で、8回にはなりません。

連絡のタイミング:留意事項通知2の(1)⑪(一)は「加算の算定に当たっては、急病等によりその利用を中止した日の前々日、前日又は当日に中止の連絡があった場合について算定可能とする」としています。前日以前の連絡が一律で対象外になるわけではありません。対象外になるのは、3営業日以上前のキャンセルと、急病等以外の理由(家族の用事、定期通院など、あらかじめ決まっていた欠席)による欠席です。

算定に必要な3要件

  1. あらかじめ利用を予定した日に、急病等により利用を中止し、その前々日・前日・当日のいずれかに中止の連絡があったこと(告示の注+留意事項通知2の(1)⑪(一))
  2. 従業者が障害児またはその家族等と連絡調整その他の相談援助を行ったこと。留意事項通知2の(1)⑪(二)は「電話等により当該障害児の状況を確認し、引き続き利用を促すなどの相談援助を行う」ことであり、直接の面会や自宅訪問は要しないとしています
  3. 障害児の状況、相談援助の内容等を記録したこと

感染症の流行期は急な欠席が集中します。電話で症状を聞いて記録に残すだけで算定できる加算ですが、記録が残っていないために返還を求められる典型例でもあります。本資料の様式7は、そのまま欠席時対応加算の算定根拠記録として使える列構成にしてあり、欠席区分を「当日連絡(急病等)/前日連絡(急病等)/前々日連絡(急病等)/事前キャンセル(3営業日以上前)/欠席(急病等以外)/利用/休業日」から選ぶ形にしています。

1-3 感染症対策の未実施そのものには、加算も減算もない

指定通所基準第41条第2項(委員会・指針・研修・訓練)を満たしていないことに対する減算規定は、告示122号の別表に置かれていません。したがって感染症対策の不備は、報酬の減算ではなく運営基準違反として、運営指導での文書指摘 → 改善勧告 → 改善命令 → 指定の効力停止という経路に乗ります。「減算がないから後回し」ではなく「金銭ペナルティがない代わりに指定に響く」という整理で扱ってください。

2. 算定要件・制度要件(条文番号併記)

以下、「基準」=児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成24年2月3日厚生労働省令第15号)、「解釈通知」=児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準について(平成24年3月30日障発0330第12号)を指します。

2-1 事業所に課される義務の本体(基準第41条 衛生管理等)

準用関係(自分のサービスがどの条文で縛られているか)

サービス適用条文
指定児童発達支援基準第41条
指定放課後等デイサービス第71条において準用する第41条
共生型放課後等デイサービス第71条の2において準用する第41条
基準該当放課後等デイサービス第71条の6において準用する第41条
指定居宅訪問型児童発達支援第71条の14において準用する第41条
指定保育所等訪問支援第79条において準用する第41条

第41条第1項:障害児の使用する設備及び飲用に供する水について、衛生的な管理に努め、又は衛生上必要な措置を講ずるとともに、健康管理等に必要となる機械器具等の管理を適正に行わなければならない。

第41条第2項:感染症又は食中毒が発生し、又はまん延しないように、次の各号に掲げる措置を講じなければならない。

  • ・第1号:感染症及び食中毒の予防及びまん延の防止のための対策を検討する委員会(テレビ電話装置等を活用して行うことができる)を定期的に開催するとともに、その結果について、従業者に周知徹底を図ること
  • ・第2号:感染症及び食中毒の予防及びまん延の防止のための指針を整備すること
  • ・第3号:従業者に対し、感染症及び食中毒の予防及びまん延の防止のための研修 並びに 感染症の予防及びまん延の防止のための訓練を定期的に実施すること

「定期的」の中身(解釈通知 (31)衛生管理等 ②)

項目頻度通知の要求事項
感染対策委員会おおむね3月に1回以上(+感染症が流行する時期等を勘案して必要に応じ随時)幅広い職種(例えば、施設長(管理者)、事務長、医師、看護職員、児童指導員、栄養士又は管理栄養士)により構成。構成メンバーの責務・役割分担を明確化し、専任の感染対策担当者を決める(看護師であることが望ましい)。他の委員会と独立して設置・運営することが必要だが、関係が深い他の会議体があれば一体的に設置・運営して差し支えない。事業所外の感染管理等の専門家を委員として積極的に活用することが望ましい
指針常時整備平常時の対策(事業所内の衛生管理=環境の整備・排泄物の処理・血液体液の処理等、日常の支援にかかる感染対策=標準的な予防策、手洗いの基本、早期発見のための日常の観察項目)と、発生時の対応(発生状況の把握、感染拡大の防止、医療機関や保健所・市町村の事業所関係課等との連携、医療処置、行政への報告)の両方を規定。発生時の事業所内の連絡体制および関係機関への連絡体制を整備し明記する
感染症研修年2回以上 + 新規採用時には必ず指針に基づいた研修プログラムを作成する。調理や清掃等を委託している場合は受託者にも指針を周知する。実施内容を記録する
感染症訓練(シミュレーション)年2回以上発生時の対応を定めた指針および研修内容に基づき、事業所内の役割分担の確認、感染対策をした上での支援の演習などを実施

委員会の頻度は解説記事によって記載が割れている箇所です。「年2回」は研修・訓練の回数であって、委員会は「おおむね3月に1回以上」=年4回が下限です(介護保険の通所系や訪問系では6月に1回以上とされる類型があり、それと混同されているものが見られます)。障害児通所支援の解釈通知は「おおむね3月に1回以上」と明記しています。

2-2 業務継続計画(基準第38条の2)

  • ・第1項:感染症や非常災害の発生時において、利用者に対するサービス提供を継続的に実施するための、及び非常時の体制で早期の業務再開を図るための計画を策定し、当該計画に従い必要な措置を講じなければならない
  • ・第2項:従業者に対し、業務継続計画について周知するとともに、必要な研修及び訓練を定期的に実施しなければならない
  • ・第3項:定期的に業務継続計画の見直しを行い、必要に応じて変更を行うものとする

解釈通知 (28)業務継続計画の策定等

  • ・BCP研修:定期的(年1回以上)+ 新規採用時には別に研修を実施することが望ましい。実施内容を記録する
  • ・BCP訓練(シミュレーション):業務継続計画に基づき、事業所内の役割分担の確認、感染症や災害が発生した場合に実践する支援の演習等を定期的(年1回以上)に実施。机上を含め実施手法は問わないが、机上及び実地を適切に組み合わせながら実施することが適切
  • ・感染症BCPに係る研修・訓練は、第41条の感染症研修・訓練と一体的に実施して差し支えない

感染症BCPの記載項目(解釈通知 (28)②ア)

  • ・a 平時からの備え(体制構築・整備、感染症防止に向けた取組の実施、備蓄品の確保等)
  • ・b 初動対応
  • ・c 感染拡大防止体制の確立(保健所との連携、濃厚接触者への対応、関係者との情報共有等)

災害に係る業務継続計画の記載項目(同 イ)

  • ・a 平常時の対応(建物・設備の安全対策、ライフライン停止時の対策、必要品の備蓄等)
  • ・b 緊急時の対応(業務継続計画発動基準、対応体制等)
  • ・c 他施設及び地域との連携

なお同通知は「感染症及び災害の業務継続計画を一体的に策定することを妨げるものではない」としています。

実務上の最小構成:一体実施が認められているため、必要なのは「委員会 年4回」+「研修+訓練セット 年2回(うち少なくとも1回はBCPの内容を含める)」です。これで第41条の研修2回・訓練2回と、第38条の2のBCP研修1回・BCP訓練1回が同時に満たせます。ただし議事録・記録の書き方でどの要件を満たしたのかが読み取れないと、実地では「BCP訓練の記録がない」と指摘されます。様式10b にどの要件を充足したかのチェック欄を、様式10(年間ログ)に要件別の行を用意しているのはこのためです。

2-3 行政・保健所への報告義務

根拠:社会福祉施設等における感染症等発生時に係る報告について(平成17年2月22日 健発第0222002号・薬食発第0222001号・雇児発第0222001号・社援発第0222002号・老発第0222001号)

同通知の別紙「対象となる社会福祉施設等」に「障害児通所支援事業所」「児童発達支援センター」が明記されており、児発・放デイは対象です。

報告基準(記4。次のア・イ・ウのいずれかに該当したとき)

  • ・ア.同一の感染症若しくは食中毒による又はそれらによると疑われる死亡者又は重篤患者が1週間内に2名以上発生した場合
  • ・イ.同一の感染症若しくは食中毒の患者又はそれらが疑われる者が10名以上又は全利用者の半数以上発生した場合
  • ・ウ.ア及びイに該当しない場合であっても、通常の発生動向を上回る感染症等の発生が疑われ、特に施設長が報告を必要と認めた場合

報告先:市町村等の社会福祉施設等主管部局に迅速に報告するとともに、併せて保健所に報告し、指示を求めるなどの措置を講ずる。障害児通所支援の場合、指定権者(都道府県・指定都市・中核市・児童相談所設置市)の障害児支援担当課と、支給決定を行っている市町村の障害福祉主管課の双方への連絡が必要になるケースが多くなります。

報告内容:感染症又は食中毒が疑われる者等の人数、症状、対応状況等。

あわせて求められていること(同通知)

  • ・記3:発生又はそれが疑われる状況が生じたときの有症者の状況やそれぞれに講じた措置等を記録すること
  • ・記5:報告を行った施設は、原因の究明に資するため、当該患者の診察医等と連携の上、血液、便、吐物等の検体を確保するよう努めること
  • ・記8:平常時から、職員の健康管理の徹底、健康状態によっては利用者との接触を制限する等の措置、手洗いやうがいの励行など衛生教育の徹底、衛生管理に関する研修の定期的な実施

様式:国の統一様式は示されていません。自治体が独自様式(初回報告用と終息報告用の2種を定めている例が多い)を用意しているため、事業所所在地の自治体様式を確認し、本資料の様式3をその写しに差し替えて使ってください。様式が未確認のまま発生すると、初動の30分を様式探しに使うことになります。

食中毒の届出は医師の義務:食品衛生法(昭和22年法律第233号)第63条の届出義務は医師に課されています。事業所は医師の届出とは別に、上記の平成17年通知に基づく報告を行います。両者は別建てです。

「全利用者の半数」の分母:通知は「全利用者の半数以上」としており、職員を分母に含めるかは明示されていません。本資料の様式2は、児童のみでの判定と児童+職員での判定を並記し、いずれかが該当したら報告する安全側の運用を前提に自動判定します。これは法令上の判定方法ではなく自事業所ルールなので、指針に明記し、事前に保健所へ相談して考え方を共有しておいてください。

2-4 利用再開の判断基準 ── 制度上の位置づけを間違えない

児童発達支援・放課後等デイサービスは学校教育法上の学校ではないため、学校保健安全法施行規則(昭和33年文部省令第18号)第19条の出席停止期間の基準が直接適用されるわけではありません。ただし学齢児は在籍校で出席停止の指示を受けるため、放デイの利用可否を実務上これに連動させる運用が一般的です。本マニュアルは施行規則第19条の基準を自事業所の利用再開の目安として指針に明記し、最終判断は医師の診断と保護者からの申出によるという建付けにしています。この位置づけを指針に書いていないと、保護者から「学校は登校可と言っているのに事業所が断るのはなぜか」と問われたときに説明できません。

第18条(感染症の種類)

  • ・第一種:エボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、痘そう、南米出血熱、ペスト、マールブルグ病、ラッサ熱、急性灰白髄炎、ジフテリア、重症急性呼吸器症候群、中東呼吸器症候群、特定鳥インフルエンザ
  • ・第二種:インフルエンザ(特定鳥インフルエンザを除く)、百日咳、麻しん、流行性耳下腺炎、風しん、水痘、咽頭結膜熱、新型コロナウイルス感染症、結核、髄膜炎菌性髄膜炎
  • ・第三種:コレラ、細菌性赤痢、腸管出血性大腸菌感染症、腸チフス、パラチフス、流行性角結膜炎、急性出血性結膜炎その他の感染症
  • ・第2項:新型インフルエンザ等感染症、指定感染症及び新感染症は第一種とみなす

第19条(出席停止の期間の基準)

  • ・第一種:治癒するまで
  • ・第二種(結核・髄膜炎菌性髄膜炎を除く):以下の期間。ただし病状により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めたときはこの限りでない
  • ・インフルエンザ(特定鳥インフルエンザ及び新型インフルエンザ等感染症を除く):発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児にあっては3日)を経過するまで
  • ・百日咳:特有の咳が消失するまで、又は5日間の適正な抗菌性物質製剤による治療が終了するまで
  • ・麻しん:解熱した後3日を経過するまで
  • ・流行性耳下腺炎:耳下腺、顎下腺又は舌下腺の腫脹が発現した後5日を経過し、かつ、全身状態が良好になるまで
  • ・風しん:発しんが消失するまで
  • ・水痘:すべての発しんが痂皮化するまで
  • ・咽頭結膜熱:主要症状が消退した後2日を経過するまで
  • ・新型コロナウイルス感染症:発症した後5日を経過し、かつ、症状が軽快した後1日を経過するまで
  • ・結核、髄膜炎菌性髄膜炎、第三種:病状により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めるまで

ノロウイルス・ロタウイルス等による感染性胃腸炎は第三種の「その他の感染症」に位置づけられ、日数の基準はありません。医師の判断によります。児発・放デイで最も発生頻度が高いのがこの類型であるにもかかわらず日数基準がないため、現場判断が割れます。様式5は、この類型を「医師の判断による」と表示したうえで、自事業所基準(例:下痢・嘔吐が消失し普段の食事がとれるようになってから24時間以上経過)を併記できる形にしています。これはあくまで自事業所基準であり法令基準ではないことを、保護者向け文面にも明記してください。

2-5 記録の保存

  • ・基準第54条第1項:従業者、設備、備品及び会計に関する諸記録を整備しておかなければならない
  • ・基準第54条第2項:サービス提供に関する記録(提供の記録、児童発達支援計画/放課後等デイサービス計画、市町村への通知に係る記録、身体拘束等の記録、苦情の内容等の記録、事故の状況及び採った処置についての記録)を、当該支援を提供した日から5年間保存しなければならない(放デイは第71条において準用)

感染症の発生記録・行政報告の控え・研修訓練記録・委員会議事録は第54条第2項の列挙には含まれませんが、第1項の諸記録として整備義務があり、運営指導での確認対象になります。実務上は5年で揃えておくのが安全です。ただし自治体の条例・要綱で保存年限や起算点(提供した日か、完結の日か)を別に定めている場合があるため、指定権者の基準を確認してください。

2-6 給食を提供している場合の食中毒対策

大量調理施設衛生管理マニュアル(平成9年3月24日付け衛食第85号別添)の適用範囲は「同一メニューを1回300食以上又は1日750食以上を提供する調理施設」とされており、児発・放デイの自園調理は通常この規模に達しません。ただし中小規模調理施設等においても同マニュアルの趣旨を踏まえた衛生管理の徹底が求められており、以下は準用の対象として押さえてください(数値の一次確認状況は末尾を参照)。

  • ・加熱調理食品:中心部が75℃で1分間以上(二枚貝等ノロウイルス汚染のおそれのある食品の場合は85〜90℃で90秒間以上)またはこれと同等以上まで加熱されていることを、中心部温度計等で確認し、温度と時間を記録する
  • ・検食の保存:原材料および調理済み食品を食品ごとに50g程度ずつ清潔な容器に入れて密封し、−20℃以下で2週間以上保存する
  • ・原材料の記録:品名、仕入元の名称・所在地、生産者の名称・所在地、ロットが確認可能な情報、仕入れ年月日を記録して保管する
  • ・調理従事者等の毎日の健康状態の確認および記録
  • ・利用者等が嘔吐した場合は消毒剤を用いて迅速かつ適切に処理する

自園調理か、外部搬入か、おやつのみかで適用範囲が変わるため、自事業所の提供形態に応じて指針に明記してください。

3. 空欄様式(そのまま自事業所で使えます)

kansenshou_様式.xlsx に全12様式を収録しています。網掛けセルが記入欄、黄色セルが数式の入った自動計算欄です。A4印刷を前提に印刷範囲・列幅を設定済みです。

シート様式内容印刷
00_表紙─最終確認日・鮮度アラート・収録様式一覧・改定履歴・更新トリガーA4縦
01_初動記録票様式1発生を認知した職員がその場で書く第一報。認知/対象者/症状/初動(時刻つき)/受診/管理者記入欄A4縦
02_有症状者一覧様式2行が人・列が日付(30日分、発生初日から自動採番)。報告基準1/2-a/2-b/2-c/3と総合判定を自動表示A4横
03_行政報告書様式3第一報/経過報告/終息報告 兼用。報告先3系統のチェック欄付きA4縦
04_保護者向け連絡文様式4A 発生のお知らせ/B 利用休止・再開/C 終息のお知らせ の項目立てA4縦
05_利用再開確認票様式5疾患名を選ぶと、施行規則第19条に基づく出席停止の目安・利用再開可能日・医師の確認の要否を自動計算。判定の基礎表(24疾患)を同一シートに収録A4横
06_衛生管理チェック表様式61日1行×31行、日次11項目+換気時刻。当月の実施率を「営業日数×11項目」を母数に自動計算。週次・月次の点検欄付きA4横
07_健康観察欠席記録様式7健康観察と欠席連絡を1枚に。急病等による前々日・前日・当日の連絡で、相談援助の内容欄が埋まっているものだけを「算定対象」と自動判定し、児童ごとの当月算定回数を自動カウントA4横
08_嘔吐物処理記録様式81件1枚。処理手順10項目のチェック、使用消毒液の濃度・作成者まで記録A4縦
09_委員会議事録様式9出席者・欠席者への周知・協議事項8項目・決定事項(誰が・いつまでに・何を)A4縦
10_研修訓練記録様式10年間ログ。区分(委員会/感染症研修/感染症訓練/BCP研修/BCP訓練/新規採用時研修)別に1行A4横
10b_実施記録票様式10b1回1枚の実施記録票。どの条文の要件を満たしたかのチェック欄付きA4縦
11_職員名簿様式11受講率を重みづけするための勤務時間比を自動計算(人員配置基準の常勤換算とは別物)。未受講件数と新規採用時研修の未実施を自動でアラート表示A4横
12_消毒液希釈計算表様式12目標濃度と作成量を入れると必要な原液量と加える水の量を自動計算A4縦
90_計算欄─減算影響額/加算取りこぼし試算/法定要件の充足判定/受講率(第6章参照)A4横
記入例─様式1・2・3・4-A・5・7・9・10の記入例(第4章参照)A4縦

4. 記入例

kansenshou_様式.xlsx の「記入例」シートに収録しています。

この章および記入例シートに登場する法人名・事業所名・所在地・人物名・医療機関名・行政機関名はすべて架空です。実在する法人・事業所・個人・機関とは一切関係ありません。

設定:〇〇株式会社/児童発達支援・放課後等デイサービス 〇〇(多機能型・利用定員10名・実登録児童14名・職員6名)/東雲県みのり市。法人名・事業所名・協力医療機関名はプレースホルダ(〇〇)にしてあります。自事業所の名称に置き換えて使ってください。

シナリオ:令和8年11月17日(火)10時20分、児発利用中の田原あおい(5歳)が活動室で嘔吐。同日11時、放デイ利用予定の宮下はると(9歳)の保護者から嘔吐・下痢による当日欠席の連絡。夕方までに児童3名・職員1名が同様の症状。翌18日に児童5名・職員2名(計7名)。11月19日(木)〜21日(土)を休止して全館消毒、11月24日(火)に再開、11月25日(水)に終息。日付と曜日は2026年の実カレンダーに合わせています。

収録している記入例は以下の8点です。

  1. 様式1 初動記録票 — 10:20の認知から11:20の引き渡しまで、分単位の初動を時系列で記録した例
  2. 様式2 有症状者一覧・経過表 — 7名分の一覧と、報告基準の判定結果。この事例は基準1・2いずれにも該当せず、基準3(施設長が報告を必要と認めた場合)で報告した例にしています。判断の根拠を記録に残す書き方の見本です
  3. 様式3 行政・保健所報告書 — 第一報と終息報告
  4. 様式4-A 保護者向け連絡文 — 法人名・事業所名を差し替えてそのまま配付できる完成文面。配付前に日付と曜日は必ず自事業所のカレンダーで振り直してください
  5. 様式5 利用再開確認票 — 感染性胃腸炎(日数基準なし+自事業所目安)とインフルエンザ(日数計算)の2件。自動計算の挙動確認を兼ねています
  6. 様式7 健康観察・欠席連絡記録 — 「相談援助の内容」をどの粒度で書けば算定根拠になるかの見本。急病等以外の理由による欠席(連絡が前日でも対象外)の例も併記。3件の対象例はいずれも別の児童なので、当月回数はすべて1回目です
  7. 様式9 感染対策委員会 議事録 — 発生事例の振り返りから、担当者と期限つきの決定事項を7件出した例
  8. 様式10 研修・訓練 実施記録 — 1回90分の実施で第41条の研修・訓練と第38条の2のBCP研修・訓練の4要件を同時に満たした例と、年間ログへの転記方法

5. Q&A と、運営指導で見られるところ

5-1 Q&A

Q1. 感染対策委員会は年2回でよいと聞きましたが。

A. 年2回以上は研修と訓練の回数で、委員会は別枠です。解釈通知(31)②アは委員会について「おおむね3月に1回以上、定期的に開催するとともに、感染症が流行する時期等を勘案して必要に応じ随時開催する必要がある」としています。年4回が下限です。

Q2. 職員が5名しかいません。委員会は成立しますか。

A. 解釈通知は「幅広い職種(例えば、施設長(管理者)、事務長、医師、看護職員、児童指導員、栄養士又は管理栄養士)により構成する」と例示しているだけで、人数の下限は示していません。在籍する職種で構成すれば足ります。あわせて「事業所外の感染管理等の専門家を委員として積極的に活用することが望ましい」「感染対策担当者は看護師であることが望ましい」ともされているため、看護職員がいない場合は協力医療機関の看護師等に助言を依頼した記録を残しておくと、望ましい形に近づきます。

Q3. 運営委員会と一緒に開いてもよいですか。

A. 解釈通知は「感染対策委員会は、運営委員会など他の委員会と独立して設置・運営することが必要であるが、関係する職種、取り扱う事項等が相互に関係が深いと認められる他の会議体を設置している場合、これと一体的に設置・運営することとして差し支えない」としています。一体開催は可能ですが、議事録上で感染対策の議題・決定事項が独立して読み取れる形にしてください。

Q4. 研修と訓練は同じ日にまとめて実施してよいですか。

A. 差し支えありません。BCPの研修・訓練についても、解釈通知(28)③④が「感染症の予防及びまん延の防止のための研修(訓練)と一体的に実施することも差し支えない」としています。ただし記録の書き方が重要で、1回の実施で何の要件を満たしたのかが記録から読み取れないと、実地指導では「感染症の訓練の記録はあるがBCP訓練の記録がない」と扱われます。様式10bのチェック欄と様式10の要件別の行はこのためのものです。

Q5. 感染症BCPと災害BCPは1本にまとめてよいですか。

A. 解釈通知(28)②は「感染症及び災害の業務継続計画を一体的に策定することを妨げるものではない」としています。ただし業務継続計画未策定減算の条件は基準第38条の2第1項の基準を満たしていないことなので、1本にする場合も感染症に係る記載項目(平時からの備え/初動対応/感染拡大防止体制の確立)と災害に係る記載項目(平常時の対応/緊急時の対応/他施設及び地域との連携)が両方揃っている必要があります。

Q6. 何人発症したら保健所に報告するのですか。

A. 平成17年2月22日通知の3基準です。ア=同一の感染症・食中毒による、又はそれらによると疑われる死亡者又は重篤患者が1週間内に2名以上、イ=同一の感染症・食中毒の患者又はそれらが疑われる者が10名以上又は全利用者の半数以上、ウ=ア・イに該当しなくても、通常の発生動向を上回る発生が疑われ、特に施設長が報告を必要と認めた場合。定員10名規模の事業所はア・イに達する前でもウで報告する場面が多くなります。迷ったら報告する運用にして、その判断を議事録に残すのが実務上は安全です。

Q7. 報告先は保健所だけですか。

A. 同通知は「市町村等の社会福祉施設等主管部局に迅速に報告するとともに、併せて保健所に報告し、指示を求める」としています。障害児通所支援では、指定権者の障害児支援担当課と、支給決定市町村の障害福祉主管課に連絡が必要になるのが通例です。誰にどの順で電話するかを指針に固有名詞と電話番号で書いておいてください。

Q8. 報告様式は国の様式がありますか。

A. 通知に統一様式は示されていません。自治体が独自様式を用意しているため、所在地の様式を今のうちに入手し、様式3と差し替えてください。

Q9. 食中毒が疑われるとき、保健所に届け出るのは事業所ですか。

A. 食品衛生法第63条の届出義務は、食中毒患者等を診断し、又はその死体を検案した医師に課されています。事業所は医師の届出とは別に、平成17年通知に基づく報告を行います。両者は別建てです。

Q10. 給食を出していますが、大量調理施設衛生管理マニュアルに従う必要がありますか。

A. 同マニュアルの適用範囲は「同一メニューを1回300食以上又は1日750食以上を提供する調理施設」で、通常の児発・放デイは適用対象外です。ただし中小規模調理施設等にも同マニュアルの趣旨を踏まえた衛生管理の徹底が求められており、加熱条件・検食の保存・原材料記録・調理従事者の健康チェックは準用してください。

Q11. インフルエンザにかかった児童は、いつから利用できますか。

A. 児発・放デイは学校ではないため、学校保健安全法施行規則第19条は直接適用されません。ただし実務上は同条を目安として運用するのが一般的です。同条ではインフルエンザ(特定鳥インフルエンザ及び新型インフルエンザ等感染症を除く)は「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児にあっては3日)を経過するまで」出席停止とされています。学齢児は在籍校の出席停止期間と揃えるのが自然です。自事業所の目安であることを指針に明記し、保護者にも事前に周知してください。

Q12. ノロウイルスの場合の再開基準は。

A. 感染性胃腸炎は施行規則第18条の第三種「その他の感染症」に位置づけられ、日数の基準はありません(「病状により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めるまで」)。児発・放デイには学校医に相当する者がいないため、協力医療機関の医師の判断を仰ぐか、自事業所で目安(例:下痢・嘔吐が消失し普段の食事がとれるようになってから24時間以上経過)を定めて指針に明記し、医師の指示があればそれを優先する、という建付けにしてください。

Q13. 感染症で欠席が続いたとき、欠席時対応加算は何回まで算定できますか。

A. 児発・放デイとも94単位で、障害児1人につき1月4回が限度です。事業所全体で4回ではありません。児童が10名欠席すれば、それぞれ4回まで算定できます。重症心身障害児を対象とする区分(児発1のハ、放デイ1のロ)を算定する事業所で、当月の利用率が定員×営業日数の100分の80に満たない場合のみ、重症心身障害児に限り8回を限度とします。一般の事業所は8回にはなりません。

Q14. 前日に「明日は休みます」と連絡が来た場合は算定できますか。

A. 急病等による中止であれば算定できます。留意事項通知2の(1)⑪(一)は「急病等によりその利用を中止した日の前々日、前日又は当日に中止の連絡があった場合について算定可能とする」としています。対象外になるのは、3営業日以上前のキャンセルと、急病等以外の理由(家族の用事、あらかじめ決まっていた定期通院など)による欠席です。連絡が当日か前日かではなく、急病等かどうかと連絡が前々日以降かで判断してください。

Q15. 感染症で臨時休業した場合、基本報酬はどうなりますか。

A. 提供していない日の給付費は算定できません。急病等で欠席となった児について、前々日・前日・当日に連絡を受けて連絡調整・相談援助を行い記録を残せば、欠席時対応加算(児童1人につき月4回まで)を算定できます。事業所都合の休業日に一律で算定できるものではないため、個々の児について「利用を予定していた日か」「急病等による中止か」を欠席記録で確認してください。

5-2 運営指導で見られる箇所と、指摘の型

① 委員会の開催回数が足りない 見られるもの:議事録(開催日、出席者、協議事項、決定事項、従業者への周知の記録)。 指摘の型:年2回しか開催しておらず「おおむね3月に1回以上」を満たしていない。あるいは開催記録はあるが「感染対策委員会」として独立した議題・決定が読み取れず、単なる職員会議の議事録になっている。 対策:様式9を年4回分あらかじめ日付入りで用意し、開催前に議題を埋めておく。

② 研修・訓練の記録に「誰が受けたか」がない 見られるもの:研修記録、受講者名簿、欠席者へのフォロー記録。 指摘の型:実施記録はあるが受講者名簿がなく、全職員が受講したか確認できない。非常勤職員が受講しておらず補講の記録もない。新規採用者に対する感染対策研修の記録がない。 対策:様式11で採用日と受講日を突き合わせ、未受講アラートを自動表示させる。

③ 訓練が実施されていない(研修だけで終わっている) 見られるもの:訓練の記録、シナリオ、実施内容。 指摘の型:「感染症対策研修を実施」の記録はあるが、訓練(シミュレーション)の記録がない。基準第41条第2項第3号は研修と訓練を並列で求めているため、研修記録だけでは訓練要件を満たさない。 対策:様式10bで研修と訓練のどちらを実施したかにチェックを入れ、訓練の場合は想定シナリオと役割分担の確認内容を必ず書く。

④ 指針に発生時の対応・連絡体制が書かれていない 見られるもの:感染症及び食中毒の予防及びまん延の防止のための指針。 指摘の型:手洗いや消毒など平常時の対策は書かれているが、発生状況の把握、感染拡大の防止、医療機関・保健所・市町村との連携、行政への報告といった発生時の対応が書かれていない。連絡体制(誰が誰にどの順で連絡するか、電話番号)が明記されていない。 対策:解釈通知(31)②イが列挙する項目をそのまま指針の見出しにする。連絡先は固有名詞と番号で書く。

⑤ 業務継続計画が「作っただけ」になっている 見られるもの:BCP本体、BCP研修・訓練の記録、見直しの記録。 指摘の型:計画は策定されているがひな形のままで自事業所の実情(職員数、備蓄量、代替要員、連絡網)が反映されていない。第38条の2第2項の周知・研修・訓練の記録がない。第3項の定期的な見直しの記録がない。この状態は第38条の2第1項を満たさないと判断されれば、業務継続計画未策定減算(1%)の対象になりえます。 対策:年1回、様式9の委員会の議題に「BCPの見直しの要否」を入れ、変更なしの場合も「見直しを行い変更なしと判断」と議事録に残す。

⑥ 発生時の記録が個人のメモ止まりになっている 見られるもの:発生時の記録、行政への報告の控え、保護者への周知文の控え。 指摘の型:発生の事実はあったが、時系列の記録がなく、どの時点で誰が何を判断したか追えない。報告基準に該当したのに行政・保健所への報告記録がない。 対策:様式1・2・3を1セットにして、発生時にはこの3枚を必ず起こす。報告しなかった場合も「基準ア・イ非該当、ウについても施設長が報告不要と判断」と記録に残す(判断した記録がないと、判断していないと見なされます)。

⑦ 欠席時対応加算の記録が「欠席」の2文字だけ 見られるもの:欠席の記録、相談援助の内容の記録、算定回数。 指摘の型:加算を算定しているが、告示の注が求める「障害児の状況、相談援助の内容等」の記録がなく、出欠簿に「欠席」とあるのみ。いつ連絡を受けたのか(前々日・前日・当日か、3営業日以上前か)と、急病等による中止かどうかが記録から判別できない。児童1人につき月4回の限度を超えて算定している。逆に、前日連絡分を対象外と誤解して取りこぼしている。 対策:様式7に連絡を受けた時刻・欠席区分(急病等の連絡タイミング)・相談援助の内容の記入欄を設け、児童ごとの当月算定回数を自動カウントする。

⑧ 給食・おやつまわり 見られるもの:検食の保存状況、調理従事者の健康チェック記録、加熱温度の記録、原材料の記録。 指摘の型:自園調理をしているが検食が保存されていない、または保存期間・温度が不十分。調理担当者の毎日の健康状態の確認記録がない。外部搬入弁当の場合に、搬入業者の衛生管理の確認記録や検食の保存の取り決めがない。 対策:提供形態(自園調理/外部搬入/おやつのみ)ごとに、何をどこまでやるかを指針に書き分ける。

⑨ 記録の保存年限 見られるもの:過去分の記録の保管状況。 指摘の型:基準第54条第2項が求める5年保存を満たしていない。電子データのみで保存しているが、バックアップや改ざん防止の運用が定められていない。 対策:年度ごとにファイリングし、保存場所と廃棄予定年月を記載する。

6. 自事業所の値を入れる計算欄と、資料の鮮度管理

6-1 表紙シートの鮮度管理ブロック(00_表紙)

制度資料の事故の大半は「いつの制度の話か分からないまま使う」ことで起きます。表紙に、この資料自体が古くなったことを利用者が自分で気づけるブロックを置いています。

セル項目内容
C4資料名感染症・食中毒 対応マニュアル+記録様式一式
C5版v1.0
C6最終確認日2026-08-14
C7準拠した制度の時点令和8年度報酬改定後(告示122号は令和8年こども家庭庁告示第5号による改正後、留意事項通知は令和8年3月31日こ支障第88号による改正後を確認)
C8経過日数(自動)=DATEDIF($C$6,TODAY(),"D")&"日経過"
C9鮮度アラート(自動)6か月経過/12か月経過で警告文が切り替わる
C10次回確認の目安毎年3月末(報酬改定・告示改正の公表時期)と、報酬改定年度の4月

表紙下部には改定履歴表(空行10行)と、更新トリガーのチェックリスト8項目を置いています。「根拠となった改正」列があることで、なぜ変えたのかが後任に伝わります。

6-2 計算欄(90_計算欄)に入っている4つの計算

① 業務継続計画未策定減算の影響額

地域区分単価(C5)と当月の基本報酬の合計単位数(C6・各種加算を含まない)、感染症BCP・災害BCPの策定有無(C7・C8)を入れると、減算該当の判定、減算単位数、月額・年額の影響が出ます。判定は =IF(OR($C$7="なし",$C$8="なし"),"減算に該当…","減算に該当しない") で、どちらか一方でも「なし」なら該当します。端数処理は切り捨てで計算していますが、方法は指定権者・国保連の運用に依存するため導入時に確認してください。令和8年6月1日以降に新たに指定を受けた事業所は、C6に988/1000(放デイは982/1000)適用後の単位数を入れてください。

② 欠席時対応加算の取りこぼし試算

対象年月(G5)・事業所区分・利用定員・営業日数・延べ利用児童数を入れると、児童1人あたりの算定上限回数(一般4回/重心区分かつ利用率80%未満で8回)を自動判定します。様式7から、急病等による前々日・前日・当日の連絡にあたる欠席を COUNTIFS で拾い、児童ごとに上限を当てたうえで、算定できる回数と算定額、そして記録漏れによる取りこぼし額を出します。

児童ごとの回数は様式7側で数えています。T列が「相談援助の記録があり算定対象になる、この児童の当月何回目か」、補助列のU列・V列(印刷範囲外)が「記録の有無を問わず加算の対象になり得る、この児童の当月何件目か」です。90_計算欄はこの2つを上限(G11)以下で数え、その差を取りこぼしとして金額に換算します。事業所全体で4回という数え方はしていません。

取りこぼし額(G15)は「電話は受けたのに相談援助の内容を書かなかったせいで消えた金額」です。ここが数字で出ると記録の徹底が進みます。集計対象は G5 に入れた対象年月です。国保連請求は翌月1〜10日に前月分を行うため、請求作業のときは G5 に前月の月初日を入れてください。過去月も G5 を変えるだけで見られます(数式は触りません)。なお様式7のC列が「職員」の行は集計から除いています。

③ 法定要件の充足判定(年度単位)

様式10の年間ログから、要件ごとの実施回数を年度で集計し、下限との差を判定します。

要件根拠条文年間の下限
感染対策委員会基準第41条第2項第1号/解釈通知(31)②ア4
感染症・食中毒の研修基準第41条第2項第3号/解釈通知(31)②ウ2
感染症の訓練基準第41条第2項第3号/解釈通知(31)②エ2
業務継続計画の研修基準第38条の2第2項/解釈通知(28)③1
業務継続計画の訓練基準第38条の2第2項/解釈通知(28)④1
新規採用時の感染対策研修解釈通知(31)②ウ採用者ごと
指針の整備基準第41条第2項第2号常時
感染症・非常災害に係るBCPの策定/見直し基準第38条の2第1項・第3項常時

判定は「適合」か「不足 n回」で表示され、直近実施日から次回期限も自動計算します。新規採用時研修は、様式11の採用日が年度内で受講日が空欄の職員を数えて「未実施者 n名」と出します。

注意:実施回数は様式10の区分列を数えています。1回の実施で複数の要件を満たした場合は、同じ実施日で要件ごとに行を分けて記入してください。1行にまとめると充足判定に反映されません。

④ 勤務時間比と受講率

人数ベースの受講率だけだと、常勤1名が受けて非常勤5名が未受講でも数字が小さく見えるだけで、どこに穴があるかが分かりません。様式11で勤務時間比(当月の勤務時間 ÷ E1に入れた常勤が勤務すべき時間数)を計算し、人数ベースと勤務時間比ベースの受講率を併記しています。

この列は人員配置基準の常勤換算ではありません。あくまで受講率を勤務量で重みづけするための係数です。人員配置基準でいう常勤換算方法は、解釈通知 第二の2(2)が「指定障害児通所支援事業所等の従業者の勤務延べ時間数を当該指定障害児通所支援事業所等において常勤の従業者が勤務すべき時間数(1週間に勤務すべき時間数が32時間を下回る場合は32時間を基本とする。)で除することにより、当該指定障害児通所支援事業所等の従業者の員数を常勤の従業者の員数に換算する方法」と定義しており、除数の取り方も対象となる勤務時間の範囲も本表とは異なります。人員配置基準の確認にこの列を流用しないでください。E1(既定168時間)は自事業所の就業規則上の常勤所定時間(例:週40時間×4週=160時間)に入れ替えて使ってください。

6-3 最終確認日を置く場所

  1. Excelブックの表紙シート C6
  2. 各様式シートの印刷フッター(様式名/最終確認日/版を刷り込み済み)
  3. この解説ファイルの冒頭

印刷して壁に貼った様式が2年前の版だった、という事故を防ぐためです。なおフッターは静的テキストなので、最終確認日を更新するときは表紙セルとフッターの両方を直してください。

出典一覧

本資料の作成にあたり、2026-08-14に以下の一次情報に当たって内容を確認しました。

内容出典
基準第38条の2(業務継続計画の策定等)、第41条(衛生管理等)、第54条(記録の整備・5年保存)、第71条・第71条の2・第71条の6・第71条の14・第79条(準用)の条文児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成24年厚生労働省令第15号)/e-Gov法令検索 法令ID 424M60000100015 https://laws.e-gov.go.jp/law/424M60000100015
委員会おおむね3月に1回以上、指針の記載事項、研修年2回以上+新規採用時、訓練年2回以上、BCP研修・訓練 年1回以上、BCPの記載項目、一体実施の可否児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準について(平成24年3月30日障発0330第12号)(28)(31)/こども家庭庁 令和6年度報酬改定関係資料 https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/253aba4f-3ce0-4aa1-a777-3d42440f1ca2/0ff3d1f9/20240412_policies_shougaijishien_shisaku_hoshukaitei_53.pdf
欠席時対応加算 94単位・障害児1人につき1月4回・重心区分かつ利用率100分の80未満で8回、算定に必要な行為(注の主語が「障害児」であること)児童福祉法に基づく指定通所支援及び基準該当通所支援に要する費用の額の算定に関する基準(平成24年3月14日厚生労働省告示第122号)別表 第1の7・第3の5 https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=82ab2680&dataType=0
欠席時対応加算の連絡タイミングが「中止した日の前々日、前日又は当日」であること、相談援助の内容(電話等での状況確認と利用の促し、面会・訪問は不要)、8回は重症心身障害児に限ること児童福祉法に基づく指定通所支援及び基準該当通所支援に要する費用の額の算定に関する基準等の制定に伴う実施上の留意事項について(平成24年3月30日障発0330第16号/最終改正 令和8年3月31日こ支障第88号)改正後全文 2の(1)⑪(一)〜(三) https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/2c5e1bb4-ee80-462b-992f-06f0d8c9b774/4aacbf83/20260402_policies_shougaijishien_shisaku_r8hoshukaitei_17.pdf
令和8年度改定の内容(令和8年6月1日以降に指定を受けた事業所の1000分の988/1000分の982、適用除外の3類型、加算前の単位数に適用すること)と、欠席時対応加算・業務継続計画未策定減算に変更がないこと同 留意事項通知 改正後全文 2の(1)①(八)・4の(1)①(五)、および同 新旧対照表 https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/2c5e1bb4-ee80-462b-992f-06f0d8c9b774/555544a2/20260402_policies_shougaijishien_shisaku_r8hoshukaitei_18.pdf
業務継続計画未策定減算の告示上の位置(第1の1 注6/第3の1 注6の3/第4の1 注7/第5の1 注6)と経過措置(令和7年3月31日まで、ただし指針・非常災害計画未策定の場合を除く)令和6年3月15日こども家庭庁告示第3号 附則第2条(告示122号の改正附則。上記告示URLに収載)
業務継続計画未策定減算の減算率が児発・放デイで所定単位数の100分の1であること告示122号 別表 第1の1 注6「指定通所基準第38条の2第1項(指定通所基準第54条の5及び第54条の9において準用する場合を含む。)に規定する基準を満たしていない場合は、所定単位数の100分の1に相当する単位数を所定単位数から減算する。」/同 別表 第3の1 注6の3(第71条等において準用) https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=82ab2680&dataType=0
報告基準ア・イ・ウ、報告先、記録・検体確保・平常時の対応、対象施設に「障害児通所支援事業所」「児童発達支援センター」が含まれること社会福祉施設等における感染症等発生時に係る報告について(平成17年2月22日 健発第0222002号ほか) https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta5127&dataType=1&pageNo=1
上記通知の令和5年4月28日一部改正が実在すること(改正後の発出者・部局名)「社会福祉施設等における感染症等発生時に係る報告について」の一部改正について(令和5年4月28日 こ成総第18号・こ支総第9号・健発0428第3号・生食発0428第8号・社援発0428第18号・障発0428第1号・老発0428第9号) https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc7664&dataType=1&pageNo=1
第一種・第二種・第三種の感染症の種類、出席停止の期間の基準(各疾患の日数)、百日咳が「特有の咳が消失するまで又は5日間の適正な抗菌性物質製剤による治療が終了するまで」であること学校保健安全法施行規則(昭和33年文部省令第18号)第18条・第19条第二号ロ/e-Gov法令検索 法令ID 333M50000080018 https://laws.e-gov.go.jp/law/333M50000080018
人員配置基準における常勤換算方法の定義(勤務すべき時間数が週32時間を下回る場合は32時間を基本とする)児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準について(平成24年3月30日障発0330第12号)第二の2(2)
食中毒の届出義務が医師に課されていること食品衛生法(昭和22年法律第233号)第63条

本資料で確認しきれていない点

以下は今回の作成時点で一次情報による裏取りができていない項目です。そのまま鵜呑みにせず、運用前に自事業所で確認してください。請求に直結する項目が含まれます。

  1. 令和8年度報酬改定後の処遇改善加算の加算率。

令和8年度改定に福祉・介護職員等処遇改善加算の見直しが含まれることは留意事項通知の新旧対照表で確認しましたが、区分ごとの加算率は本資料の対象外のため確認していません。処遇改善加算を算定している場合は、こども家庭庁の令和8年度報酬改定資料で加算率を確認してください。なお欠席時対応加算94単位・障害児1人につき月4回/8回と、業務継続計画未策定減算の100分の1に変更がないことは告示122号本文と留意事項通知の新旧対照表で確認済みです。

  1. 告示122号の「注」番号が現時点でも同じか。

第1の1 注6/第3の1 注6の3 という位置は告示122号本文で確認しましたが、その後の改正で注が追加・削除されると番号がずれます。減算の該当を判断する場面では、番号ではなく条件(基準第38条の2第1項の基準を満たしているか)で見てください。

  1. 大量調理施設衛生管理マニュアルの数値。

加熱条件(中心部75℃1分以上/二枚貝等85〜90℃90秒以上)、検食(50g程度・−20℃以下・2週間以上)、原材料記録の保管期間、および「中小規模調理施設等においても本マニュアルの趣旨を踏まえた衛生管理の徹底を」という記載は、今回一次情報で確認できていません。自園調理を行っている場合は、同マニュアルの最新版(最終改正の日付を含む)を必ず原本で確認してください。

  1. 報告様式・報告先の具体名。

国の統一様式がないため、様式3は暫定用です。指定権者・支給決定市町村・保健所のそれぞれについて、どの課の誰に、どの様式で、どの順で連絡するかは自事業所で確認して指針に書き込む必要があります。

  1. 記録の保存年限の起算点。

基準第54条第2項の5年保存は条文で確認しましたが、自治体の条例・要綱で保存年限や起算点(提供した日か、完結の日か)を別に定めている場合があります。指定権者の基準を確認してください。

  1. 「全利用者の半数」の分母に職員を含めるか。

通知に明示がありません。様式2は児童のみ/児童+職員の両方を計算して、いずれか該当で報告する安全側の運用を前提にしています。これは法令上の判定方法ではなく本資料が提案する自事業所ルールです。指針に明記し、事前に保健所へ相談してください。

  1. 減算単位数の端数処理。

計算欄は切り捨てで計算していますが、実際の処理は指定権者・国保連の運用に依存します。

  1. 感染性胃腸炎の利用再開の自事業所基準(症状消失から24時間)。

これは法令基準ではなく、本資料が例示している自事業所基準です。保育所における感染症対策の考え方を参考にした運用例であり、根拠となる公的文書の該当箇所は今回確認していません。自事業所で基準を定める際は、協力医療機関の医師に相談したうえで指針に明記してください。

最終確認日: 2026-08-14