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業務改善助成金で児発・放デイのICT・送迎システムを導入する【令和8年度】
業務改善助成金は、事業場内最低賃金を引き上げる中小企業の設備投資を助成する制度です。令和8年度の申請期間・コース・助成率と、記録システムや送迎システムの導入が対象経費になり得るかの考え方、交付決定前の契約が対象外になる点を、厚生労働省の公表資料をもとに整理しました。
業務改善助成金は、賃金を引き上げる中小企業が生産性向上のための設備投資をするときに、その費用の一部を助成する制度です。福祉の事業所向けに作られた制度ではありませんが、対象経費の例示に「顧客管理情報のシステム化」が入っており、記録・請求のシステムや送迎の管理システムを設備投資計画に載せる構成を取ることができます。ここでは令和8年度の条件を、厚生労働省の公表資料に沿って整理します。
交付決定の前に導入・契約したものは助成の対象になりません (令和8年度リーフレットに明記)。先にソフトを契約してから申請する、という順番はとれません。本記事は2026年9月2日時点の内容です。
どんな制度か — 賃上げが前提の設備投資助成
対象になるのは、事業場内最低賃金 (その事業場で最も低い時間給) が令和8年度の地域別最低賃金を下回っている中小企業・小規模事業者です。事業場内最低賃金を一定額以上引き上げ、あわせて生産性向上に資する設備投資等を行うことが条件になります。引上げの対象となるのは、週20時間以上の雇用保険被保険者です。
- 賃上げが先にある制度です。賃上げの予定がない年は使えません。
- 引上げは地域別最低賃金の発効日の前日までに完了し、就業規則等に明記する必要があります。複数回に分割しての引上げは認められません。
- 申請先は都道府県労働局の雇用環境・均等部 (室) です。電子申請はJグランツ (GビズIDプライム) を使います。
- 同一の事業所が申請できるのは年度内1回までです。解雇や賃下げなどの不交付事由がないことも条件になります。
令和8年度の申請期間と締切の考え方
令和8年度の申請期間は2026年9月1日から、各都道府県の地域別最低賃金の発効日の前日、または2026年11月30日のいずれか早い方までです。地域別最低賃金の発効日は都道府県ごとに違うため、自分の都道府県の発効日を先に確認してください。加えて、予算がなくなった時点で早期に終了することがあります。
締切は「11月30日」で覚えず、「自分の都道府県の最低賃金の発効日の前日と11月30日の、早い方」で覚えてください。発効日が10月の都道府県では、11月30日まで待つと間に合いません。
コースと助成率・上限
コースは事業場内最低賃金の引上げ額で決まり、令和8年度は50円・70円・90円の3コースに再編されています。助成率は事業場内最低賃金の水準で変わります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| コース | 50円コース / 70円コース / 90円コース |
| 助成率 | 事業場内最低賃金1,050円未満は4/5、1,050円以上は3/4 |
| 上限額 | コースと引上げ人数の組み合わせで30万〜600万円 (最大の600万円は90円コース・10人以上・特例事業者) |
| 申請回数 | 同一事業所は年度内1回まで |
| 事業完了期限 | 交付決定を受けた年度の1月31日 |
上限額は「コース × 引上げる労働者の人数 × 事業場の規模」の組み合わせで決まります。金額の一覧は令和8年度リーフレットに表で掲載されているので、自分の事業所の条件に当てはめて確認してください。
対象になり得る経費 — 「顧客管理情報のシステム化」の例示をどう読むか
対象経費は「生産性向上に資する設備投資等」で、公式リーフレットには例示としてPOSレジシステムの導入、リフト付き特殊車両の導入 (送迎時間の短縮)、顧客管理情報のシステム化が挙げられています。児発・放デイの記録・請求システムや送迎の管理システムは、この「顧客管理情報のシステム化」の考え方と整合する形で計画に書くことができます。ただし、対象経費として認められるかどうかを判断するのは都道府県労働局です。
記録・請求システムの導入をどう計画に書くか
業務改善助成金は「賃上げをしても経営が成り立つように、生産性を上げる」という筋の制度です。計画には、いまどの業務に何時間かかっていて、導入後に何がどう変わるのかを書きます。ソフトの機能を並べるのではなく、業務時間の変化として書くのが基本です。
- 現状: どの業務に、誰が、月に何時間かけているか (例: 支援記録の転記、国保連請求の準備、送迎の名簿づくり)。
- 課題: その時間が何を圧迫しているか (支援の時間、残業、記録の遅れ)。
- 導入するもの: 何を入れるか、いくらか、いつ契約していつ支払うか。
- 効果: 導入後に業務時間がどう変わる見込みか。裏づけのない数字を置かず、いまの実測から積み上げます。
- 賃上げとの関係: 生み出した時間をどう賃金の引上げに結びつけるか。
当社は業務改善助成金の申請代行を行いません。申請書に添える現状の業務時間の把握には、日々の記録から出せるデータをお使いいただけますが、計画の作成と提出はご自身で行っていただきます。
端末 (タブレット・スマホ) は特例事業者のみ
パソコン・スマートフォン・タブレット等の端末の新規導入が対象になるのは、物価高騰等の要件 (利益率の3%ポイント低下など) を満たす特例事業者に限られます。ソフトと端末をまとめて申請するつもりの場合は、この点を先に労働局へ確認してください。なお自動車 (特殊用途のものを除く) は令和8年度から対象外になりました。
月額クラウド利用料の扱いは労働局の個別判断
月額のクラウド利用料が何か月分まで対象になるかについて、要綱に一般的な規定は見当たりません。実務上は、事業完了期限 (交付決定を受けた年度の1月31日) までに導入と支払いが完了する範囲が目安になりますが、扱いは都道府県労働局の個別判断です。交付申請の前に、契約形態と支払い方法をあわせて相談してください。
申請の流れと期限
| 段階 | やること | 期限の目安 |
|---|---|---|
| 1. 交付申請 | 賃金引上げ計画と設備投資の計画を作り、労働局へ提出 | 2026年9月1日〜地域別最低賃金の発効日前日または11月30日の早い方 |
| 2. 交付決定 | 労働局から交付決定通知を受け取る | 審査期間は労働局による |
| 3. 導入・支払 | 交付決定後に契約・発注し、導入して支払いを完了する | 交付決定後 |
| 4. 賃金引上げ | 事業場内最低賃金を引き上げ、就業規則等に明記する | 地域別最低賃金の発効日の前日まで |
| 5. 事業完了 | 設備投資と賃上げを完了する | 交付決定を受けた年度の1月31日 |
| 6. 実績報告 | 実績報告書と証憑を提出し、支給額の確定を受ける | 労働局の案内による |
助成金は後払いです。導入時の支払いは自己資金または融資で用意する必要があります。入金は実績報告と支給額の確定を経てからになります。
つまずきやすい点
- 交付決定の前に契約・発注してしまう。要件を満たしていても対象外になります。
- 賃上げを複数回に分けてしまう。分割しての引上げは認められません。
- 就業規則等への明記を忘れる。引上げの事実を規程で示せる状態にします。
- 地域別最低賃金の発効日を確認しないまま11月30日を締切だと思い込む。
- 年度内にすでに1回申請している。同一事業所は年度内1回までです。
- 事業完了期限 (交付決定年度の1月31日) までに支払いが終わらない契約にしてしまう。
業務改善助成金
厚生労働省・2026-09-02確認
対象事業者・コース・助成率・申請先 (都道府県労働局) と、令和8年度の受付状況を確認します。
業務改善助成金 令和8年度リーフレット
厚生労働省・令和8年度版・2026-09-02確認
申請期間・コース別の上限額・対象経費の例示・端末導入の特例・交付決定前の契約が対象外である旨・事業完了期限を確認します。
よくある質問
ソフトの月額利用料は対象になりますか
何か月分まで対象になるかの一般的な規定は要綱に見当たらず、都道府県労働局の個別判断になります。事業完了期限 (交付決定を受けた年度の1月31日) までに導入と支払いが完了する範囲が実務上の目安ですが、申請前に労働局へ確認してください。
賃上げをしない年は使えますか
使えません。事業場内最低賃金を50円・70円・90円のいずれか以上引き上げることが交付の条件です。賃上げの予定がない年は、別の制度 (処遇改善加算の上乗せ区分や自治体のICT導入支援) を検討することになります。
申請から入金までどのくらいかかりますか
交付申請から交付決定までの審査期間、導入と支払い、賃金引上げ、事業完了、実績報告、支給額の確定という段階を踏むため、申請から入金までは数か月単位になります。具体的な期間は労働局と申請の混み具合によって変わるため、確定的な日数はお伝えできません。導入時の資金は自己資金または融資で用意する前提で計画してください。
業務改善助成金を含む4系統の制度を、対象・補助率・申請先・締切の早見表にまとめたPDF (全14ページ) をお配りしています。
資料をダウンロード他の制度と並べて見たい場合は、令和8年度の一覧記事と、公式の確認先をまとめたページをご覧ください。
令和8年度の補助金・助成金一覧を読む各制度の公式ページへのリンク集と、最新の確認日はこちらにまとめています。
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