制度の情報
児発・放デイのICT導入に使える補助金・助成金
記録や請求のソフトを入れるときに使える制度は、国の助成金、都道府県の補助、報酬改定の要件と、性質の違うものが混ざっています。令和8年度時点で確認できた内容を、対象・補助率・申請先・締切の順に整理しました。制度ごとに窓口も締切も違うので、まず自分の事業所がどの系統に当てはまるかを確かめるところから始めてください。
制度の内容と募集時期は年度ごとに変わります。申請前に必ず各制度の公式窓口 (下記「公式の確認先」) でご確認ください。当社は行政機関ではありません。
4つの系統と、使えるタイミング
児発・放デイがソフトやICT機器を入れるときに関係する制度は、大きく4つの系統に分かれます。報酬の加算で受け取るもの、賃上げとセットの助成金、自治体の補助、国の補助金です。それぞれ申請先も締切も違います。
| 制度 | どんな事業所が対象か | 補助率・上限 | 申請先 | 令和8年度の状況 |
|---|---|---|---|---|
| ① 処遇改善加算の上乗せ区分 (生産性向上) | 処遇改善加算を算定する事業所 | 報酬の加算率の上乗せ (月0.3万円・1.0%相当) | 指定権者へ計画書 | 令和8年6月施行 |
| ② 業務改善助成金 | 事業場内最低賃金を引き上げる中小企業 | 3/4〜4/5・30万〜600万円 | 都道府県労働局 | 2026年9月1日〜 (地域別最低賃金の発効日前日または11月30日の早い方) |
| ③ 都道府県のICT導入支援 | 自治体の要綱による (児発・放デイを対象とする県があります) | 例: 大阪府 3/4・基準額100万円/施設 | 都道府県・市区町村 | 確認できた主要自治体は令和8年度分の受付終了 |
| ③b 登降園管理システムの補助 (障害児安全安心対策事業) | 障害児通所支援事業所 | 国3/5+都道府県等1/5 (基準額20万円・端末購入ありは70万円) | 都道府県・指定都市・中核市 | 窓口と時期は自治体ごと |
| ④ デジタル化・AI導入補助金2026 | 中小企業・小規模事業者 | 通常枠 1/2 (賃上げ要件を満たす場合2/3)・5万〜450万円 | 事務局へ電子申請 | 5次締切 2026年9月29日 17:00 (6次以降は未公表) |
一覧の詳しい読み方は、児発・放デイで使える補助金・助成金【令和8年度版】にまとめています。
① 令和8年6月改定の処遇改善加算 — 業務支援ソフトが要件に入っています
令和8年6月施行の期中改定で、処遇改善加算に生産性向上・協働化に取り組む事業者への上乗せ区分 (加算Ⅰロ・Ⅱロ) が新設されました。月0.3万円 (1.0%) 相当の加算率の上乗せです。児童発達支援・放課後等デイサービスは処遇改善加算の対象サービスに含まれます。
令和8年度の特例要件は、職場環境等要件のうち生産性向上に関する取組を5つ以上実施すること (⑱と㉑は必須)、または社会福祉連携推進法人に所属していること。あわせて、加算Ⅱロ相当額の1/2以上を月給で配分することが求められます。
必須項目㉑の原文は「業務支援ソフト (記録、情報共有、請求業務転記が不要なもの。)、情報端末 (タブレット端末、スマートフォン端末等) の導入」です (厚生労働省「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について」令和8年2月18日)。
要件に業務支援ソフトの導入が含まれている、というところまでが公表資料から読み取れる事実です。ソフトを入れれば加算が算定できる、という関係ではありません。⑱ (現場の課題の見える化) を含む5つの取組や月給での配分など他の要件があり、算定の可否は指定権者が判断します。
② 業務改善助成金 — 賃上げとセットで設備投資を助成
事業場内最低賃金が地域別最低賃金を下回っている中小企業が、賃金を引き上げたうえで設備投資を行う場合の助成金です。引上げ額に応じて50円・70円・90円の3コースがあります。
- 助成率と上限は、事業場内最低賃金・コース・引上げ人数によって異なります。
- 対象経費の例示に「顧客管理情報のシステム化」「POSレジシステム導入」があり、業務システムの導入は対象になり得ます。
- パソコン・タブレット等の端末の新規導入は、物価高騰等の要件を満たす特例事業者に限られます。
- 申請先は都道府県労働局です (電子申請はJグランツ・GビズIDプライム)。
交付決定の前に導入・契約したものは助成の対象になりません (令和8年度リーフレットに明記)。月額のクラウド利用料が何か月分まで対象になるかは要綱に一般的な規定がなく、都道府県労働局の個別判断になります。申請前にご確認ください。
令和8年度の申請期間は2026年9月1日から、各都道府県の地域別最低賃金の発効日の前日または2026年11月30日のいずれか早い方までです。予算がなくなった時点で早期に終了することがあります。事業完了の期限は交付決定を受けた年度の1月31日です。
コース・対象経費・つまずきやすい点は、業務改善助成金で児発・放デイのICT・送迎システムを導入するで詳しく整理しています。
③ 都道府県のICT導入支援 — 制度はあるが、窓口と時期は自治体ごと
国側の出どころは、こども家庭庁の「地域障害児支援体制充実のためのICT化推進事業」です。これを受けて、都道府県が「障害児支援分野のICT導入支援事業」などの名称で補助の窓口を持ちます。
- 大阪府「障がい児支援分野のICT導入支援事業」は児発・放デイが対象で、補助率3/4・基準額100万円/施設。クラウド利用料も事業実施年度分が対象とされていました (令和8年度分は受付終了)。
- 成人の障害福祉向けの「介護テクノロジー導入支援事業」は、障がい児通所支援を対象外にしている自治体があります (例: 大阪市)。児童系は障害児支援分野の枠を見てください。
- 自治体により年度ごとに実施状況が異なります。大阪府は令和8年度に実施し受付を終了、東京都については令和8年度の児発・放デイ向け単独のICT導入補助を確認できていません。
今年度も使える、とは言えない状態です。次年度の募集に向けた準備として、所在地の都道府県の窓口と事業名を先に押さえておくのが現実的です。探し方は児発・放デイのICT導入補助金 自治体制度の探し方にまとめました。
③b 登降園管理システムの補助 (障害児安全安心対策事業)
こども家庭庁の令和8年度予算に、障害児通所支援事業所に対する「登降園管理システム支援事業」があります。補助基準額は20万円 (端末購入を伴う場合は70万円)、負担割合は国3/5・都道府県等1/5・事業者1/5です。実施主体は都道府県・指定都市・中核市で、窓口と時期は自治体ごとに異なります。送迎・登降園の記録はこの趣旨に合致し得ますが、対象となるシステムの定義は各自治体の実施要綱でご確認ください。
④ デジタル化・AI導入補助金2026 (旧 IT導入補助金)
令和7年度補正予算で、IT導入補助金からデジタル化・AI導入補助金2026に名称が変わりました。実施主体は中小企業庁、申請は事務局のポータルからの電子申請です。
- 通常枠の補助率は1/2以内 (賃上げ要件を満たす場合は2/3以内)。補助額は1プロセス以上で5万〜150万円未満、4プロセス以上で150万〜450万円。
- 必須の対象経費にソフトウェア購入費とクラウド利用料 (最大2年分) が含まれます。
- 交付申請の5次締切は2026年9月29日 17:00、交付決定は2026年11月9日 (予定)、事業実施期間は2027年4月30日まで。6次以降の締切は未公表です。
- 申請する事業者側にも、中小企業等であること・gBizIDプライム・SECURITY ACTION の宣言などの条件があります。
補助の対象になるのは、事務局に登録されたITツールだけです。交付決定前の契約・導入・支払いも対象外になります。
旧IT導入補助金からの変更点とスケジュールはデジタル化・AI導入補助金2026で業務ソフトを導入するにまとめています。
交付決定の前に契約・発注しないでください
補助金でいちばん多い取り違えがここです。制度の要件を満たしていても、交付決定より前に契約・発注・支払いをしてしまうと対象外になります。業務改善助成金もデジタル化・AI導入補助金2026も公式資料で明記しており、自治体の補助でも内示前の購入契約・設置を対象外とする例があります。
- 見積りを取るところまでは先に進めて構いませんが、契約・発注は交付決定 (または内示) の通知を受けてからにします。
- 急いで導入したい事情があるときは、先に窓口へ「いつから契約してよいか」を確認してください。
- すでに使っているソフトの継続分が対象になるかどうかも、制度ごとに扱いが違います。
申請の前に共通で確認すること
- gBizIDプライムの取得には日数がかかります (書類の郵送審査があります)。電子申請を使う制度では先に取っておきます。
- 同じ設備に複数の補助金を重ねられるかは制度ごとに違います。併給の可否は各窓口へご確認ください。
- 補助金は原則として後払い (精算払い) です。導入時の資金は自己資金または融資で用意することになります。
- 実績報告の期限と、報告に必要な書類 (契約書・請求書・支払いの証憑・導入後の記録) を申請前に確認しておきます。
当社は補助金の申請代行は行いません。申請書類の作成に使えるデータの書き出しはできますが、提出はご自身で行っていただきます。
ROOTSの登録状況 (正直にお伝えします)
デジタル化・AI導入補助金2026で補助の対象になるのは、事務局に登録されたITツールだけです。ROOTSは現時点でこの登録をしていません。そのため、このページでも記事でも資料でも、ROOTSがこの補助金の対象であるとは書いていません。登録した場合は、このページでお知らせします。
都道府県のICT導入支援と業務改善助成金は、事業者 (お客様) が窓口へ申請する制度で、当社側の事前登録は必要ありません。ただし対象になるかどうかは自治体・労働局の判断になります。
処遇改善加算については、令和8年6月改定の上乗せ区分の必須項目㉑に「業務支援ソフト (記録、情報共有、請求業務転記が不要なもの。)、情報端末の導入」が含まれています。ROOTSは記録から国保連請求までを転記なしでつなぐソフトなので、この項目に該当し得ます。ただし、加算そのものの算定可否は他の要件も含めて指定権者が判断します。
公式の確認先
本ページの記載は、以下の公表資料を2026年9月2日に確認した内容に基づいています。申請の前に、最新の内容を各サイトでご確認ください。
処遇改善加算 (令和8年度報酬改定)
デジタル化・AI導入補助金2026
よくある質問
- 児発・放デイでソフトを入れるとき、いちばん現実的な制度はどれですか
- 令和8年6月に施行された処遇改善加算の上乗せ区分は、報酬の加算率で受け取るしくみのため、公募の締切に左右されません。要件のひとつに業務支援ソフトの導入が含まれています。次に、賃上げを予定している年であれば業務改善助成金が候補になります。都道府県のICT導入支援は年度ごとの短期間の募集が多く、次年度に向けた準備として見るのが現実的です。
- 補助金が決まる前にソフトを契約してもいいですか
- 多くの制度で、交付決定の前に契約・発注・支払いをしたものは対象外になります。業務改善助成金もデジタル化・AI導入補助金2026も、この点を公式資料で明記しています。自治体の補助でも内示前の契約を対象外とする例があります。見積りの取得と契約の順番を先に窓口へ確認してください。
- 月額のクラウド利用料も補助の対象になりますか
- 制度によって扱いが違います。デジタル化・AI導入補助金2026の通常枠は、クラウド利用料が最大2年分まで補助対象経費に含まれます。大阪府のICT導入支援では事業実施年度分のみが対象とされていました。業務改善助成金は何か月分が対象かの一般的な規定が要綱になく、都道府県労働局の個別判断になります。申請前に各窓口へご確認ください。
- 都道府県の補助金の募集はいつ出ますか
- 確認できた自治体では春から初夏にかけて短期間で受け付けており、令和8年度分はすでに受付を終えているところがありました。募集の時期・事業名・対象経費は自治体ごとに異なります。次年度に間に合わせるには、要綱が公表される前に見積りと導入計画を用意しておくのが現実的です。
- ROOTSは補助金の対象ですか
- 制度ごとに、対象となるツールの登録が必要かどうかが異なります。当社が登録を要する制度については、登録が完了した時点でこのページでご案内します。現時点で「対象です」とはお伝えできません。