放デイの送迎加算の算定要件と注意点
送迎加算は、放課後等デイサービスや児童発達支援の事業所にとって、収益を安定させる重要な加算のひとつです。多くの事業所で算定されていますが、算定要件を正しく理解していないと過誤請求になるリスクがあります。本記事では、送迎加算の基本ルール、片道・往復の考え方、実務上の注意点と運転記録の管理方法を解説します。
送迎加算の概要
送迎加算は、事業所が利用児童の居宅等と事業所との間の送迎を行った場合に算定できる加算です。保護者が送迎できない場合や、事業所が遠方にある場合など、利用者の通所を支援する目的で設けられています。
| 区分 | 単位数 | 算定条件 |
|---|---|---|
| 送迎加算(片道) | 54単位/回 | 片道の送迎を行った場合 |
| 送迎加算(往復) | 108単位/回 | 往復の送迎を行った場合 |
1日あたり片道54単位、往復で108単位が算定できます。地域単価を10円とした場合、往復で1,080円の加算となります。定員10名の事業所で全員に往復送迎を行えば、月22日営業で約24万円の収入増になる計算です。
算定要件の詳細
基本的な要件
- 事業所の車両を使用して送迎を行うこと(保護者の車に添乗するだけでは不可)
- 利用児童の居宅、学校、その他の場所と事業所との間の送迎であること
- 送迎を行ったことを記録に残すこと(送迎記録)
- 届出が必要:体制届で送迎加算の届出を行政に提出していること
「居宅等」の範囲
送迎の起点・終点となる「居宅等」には、以下が含まれます。
- 利用児童の自宅(居宅)
- 学校(放デイの場合、放課後に学校から事業所への送迎が一般的)
- 保育所、幼稚園等(児童発達支援の場合)
- 保護者の勤務先付近など、あらかじめ定めた場所
ただし、送迎場所は個別支援計画またはサービス提供記録に明記しておく必要があります。毎回異なる場所への送迎は、合理的な理由がない限り認められない場合があります。
片道と往復の考え方
片道加算は、行き(居宅等→事業所)または帰り(事業所→居宅等)のどちらか一方のみ送迎した場合に算定します。たとえば「行きは保護者が送り、帰りは事業所が送迎する」場合は片道54単位です。行きも帰りも事業所が送迎した場合は往復108単位を算定します。
算定できないケース
以下のケースでは送迎加算を算定できませんので注意してください。
- 保護者が自ら送迎した場合:事業所の車両・スタッフによる送迎でなければ算定不可
- 公共交通機関の利用のみの場合:スタッフが付き添って電車・バスで移動しただけでは原則不可
- 他事業所との合同送迎:送迎の責任主体が曖昧な場合は認められない
- 医療型児童発達支援の場合:送迎加算の対象外
- 同一敷地内の移動:事業所と併設施設の間の移動は送迎に該当しない
運転記録の管理方法
送迎加算を算定するためには、送迎の事実を証明できる記録の管理が不可欠です。実地指導では送迎記録が必ず確認されます。
送迎記録に必要な項目
| 項目 | 記載内容の例 |
|---|---|
| 送迎日 | 2026年2月18日 |
| 利用児童氏名 | 山田太郎 |
| 送迎区分 | 往路(学校→事業所)/ 復路(事業所→自宅) |
| 出発時刻・到着時刻 | 往路:15:00発→15:20着 |
| 送迎場所 | ○○小学校正門前 |
| 運転者氏名 | 佐藤次郎 |
| 添乗者氏名 | 高橋花子 |
| 走行距離 | 5.2km |
車両管理のポイント
- 運転日報を毎日記録し、走行距離・給油記録を管理する
- 車両点検記録簿を作成し、日常点検(始業前点検)を実施する
- 任意保険への加入は必須。対人無制限・対物1億円以上を推奨
- 運転者の免許証のコピーを事業所で保管し、有効期限を管理する
- 運転者に対する安全運転研修を年1回以上実施する
送迎加算の収益インパクト
送迎加算の有無が事業所の収支に与える影響は大きいです。定員10名の放デイを想定した収益シミュレーションを見てみましょう。
| 条件 | 月間加算収入 |
|---|---|
| 全員往復送迎・利用率80%・月22日 | 約19万円 |
| 全員片道送迎・利用率80%・月22日 | 約9.5万円 |
| 半数往復送迎・利用率80%・月22日 | 約9.5万円 |
一方、送迎にはガソリン代・車両維持費・人件費(運転者+添乗者)のコストがかかります。ルートの効率化や添乗者の兼務体制の工夫により、コストを抑えつつ加算を最大化することが重要です。
よくある質問(FAQ)
Q. 送迎ルートに複数の児童を乗せて回っても加算は算定できますか?
はい、算定できます。1台の車で複数の児童を順番にピックアップする形式(いわゆる乗り合い送迎)でも、各児童について送迎加算を算定できます。ただし、乗車時間が長くなりすぎると子どもの負担になるため、1回の送迎ルートは30〜40分以内に収めることが望ましいとされています。
Q. 送迎加算に添乗者は必須ですか?
法令上、添乗者の配置は必須ではありません。ただし、安全管理の観点から、特に障害の重い児童や行動面に配慮が必要な児童を送迎する場合は、運転者とは別に添乗者を配置することを強く推奨します。自治体によっては添乗者の配置を指導している場合もあるため、管轄自治体の方針を確認してください。
Q. 保護者が途中まで迎えに来る場合、送迎加算は算定できますか?
事業所の車両で児童を送り、途中の集合場所で保護者に引き渡す場合でも、事業所から集合場所までの送迎として片道の送迎加算を算定できます。ただし、集合場所が事業所の極めて近く(徒歩圏内など)の場合は、送迎の実態がないと判断される可能性があるため注意が必要です。