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IEP(個別の教育支援計画)と指導要録は何が違う? — 保護者が知っておくべき就学関連書類の全体像
個別の教育支援計画(IEP)、個別の指導計画、指導要録、個別支援計画(児発)の4書類の違いを保護者目線で整理。誰が作成し、どこに保管され、進学・転校時にどう引き継がれるかを完全解説。開示請求や合理的配慮の根拠書類としての使い方も。
就学相談や支援級・通級の検討が始まると、学校側から「個別の教育支援計画を作ります」「指導要録に記載します」と書類名が次々と出てきます。さらに児発・放デイ側でも「個別支援計画」があり、似た名前の書類が4種類並びます。本記事では4書類の違いを保護者目線で整理し、どこで作られ、どこに保管され、進学時にどう引き継がれるかを完全解説します。
結論: IEP(個別の教育支援計画)は「家庭・学校・福祉が連携するための長期計画」、指導要録は「学校が法定で作成する公的記録」、個別の指導計画は「学校内の日々の指導計画」、個別支援計画は「児発・放デイの支援計画」。役割が全く違います。
4書類を一目で比較
| 書類名 | 作成者 | 根拠法令 | 保管場所 | 保護者の関与 |
|---|---|---|---|---|
| 個別の教育支援計画(IEP) | 学校(コーディネーター等) | 学習指導要領 | 学校・保護者控 | 同意・署名あり |
| 個別の指導計画 | 担任・支援級教員 | 学習指導要領 | 学校内 | 原則学校主導(共有あり) |
| 指導要録 | 学校(校長) | 学校教育法施行規則 第24条 | 学校・転校先(写) | 原則保護者非開示(請求可) |
| 個別支援計画(児発/放デイ) | 児童発達支援管理責任者 | 児童福祉法・指定基準 | 事業所・保護者控 | 同意・署名必須 |
個別の教育支援計画(IEP)とは — 長期視点の「連携計画」
個別の教育支援計画(Individualized Education Plan、通称IEP)は、特別支援が必要な子について、家庭・学校・医療・福祉が情報を共有しながら一貫した支援を提供するための長期的な計画書です。文部科学省が様式例を示しており、就学前(児発)→小学校→中学校→高等学校→進路 と、教育段階をまたいで引き継がれることが想定されています。
記載内容の例
- 本人・保護者の願い(将来像)
- 本人の特性・得意/不得意・診断名(任意)
- 長期目標(小学校6年間で目指す姿)・短期目標(今年度)
- 学校で行う合理的配慮の内容(座席・板書・宿題量の調整等)
- 関係機関(医療・児発・放デイ・相談支援等)の連絡先
- 保護者の同意・署名
個別の指導計画とは — 学校内の「日々の指導書」
個別の指導計画は、担任や支援級・通級の教員が「今学期、この子に何をどう教えるか」を具体化した学校内の指導書類です。IEPが長期方針なのに対し、個別の指導計画は短期(学期単位)で、教科ごと・場面ごとに目標と手立てを書きます。多くは保護者と共有されますが、IEPと違って原則として保護者の署名は必要ありません。
IEPと個別の指導計画は混同されがちですが、「IEP=家庭と学校の合意文書(長期)、指導計画=学校内の業務書類(短期)」と覚えると整理しやすいです。
指導要録とは — 学校教育法に基づく「公的記録」
指導要録は、学校教育法施行規則第24条に基づき、すべての児童・生徒について校長が作成・保存する義務がある公的記録です。「学籍に関する記録」は20年間、「指導に関する記録」は5年間保存され、進学・転校時には抄本(写)が次の学校に送付されます。成績・出欠・行動の所見・特別活動の記録等が含まれます。
保護者と指導要録の関係
- 原則として保護者の同意・署名は不要(学校が一方的に作成する公文書)
- 保護者は個人情報保護法に基づき開示請求が可能
- 通常は保護者には見せず、進学先に抄本が送られる
- 通級・支援級在籍の事実は指導要録にも記載される
「指導要録に通級の記録が残ると就職で不利になる?」と心配する保護者は多いですが、指導要録は学校間でのみ引き継がれ、就職先や大学に直接渡るものではありません。本人が成人後に開示請求しない限り、第三者の目に触れることはほぼありません。
個別支援計画(児発・放デイ)とは — 福祉サービスの「契約文書」
児発・放デイで作成される個別支援計画は、児童発達支援管理責任者(児発管)が作成し、保護者の署名・同意が法定で必須の書類です。事業所が報酬を請求する根拠書類でもあり、6ヶ月ごとのモニタリング(見直し)が義務付けられています。IEPとは別の書類ですが、最近は両者を連動させて作る事業所も増えています。
IEPとの連動が望ましい理由
- 同じ子に対して学校と児発で目標がバラバラだと支援が空中分解する
- 学校での合理的配慮を児発でも引き継ぎたい(逆も同じ)
- 進学・卒業時にIEPに集約しておくと引き継ぎがスムーズ
進学・転校時の引き継ぎフロー
| イベント | 引き継がれる書類 | 保護者の動き |
|---|---|---|
| 幼児期→小学校 | IEP(就学相談で共有) / 児発の個別支援計画(任意で提供) | 就学相談シートに同意 |
| 小→中学校 | IEP / 指導要録抄本(法定) / 個別の指導計画(任意) | 中学校と支援内容を再確認 |
| 中→高等学校 | IEP / 指導要録抄本(法定) | 高校により合理的配慮の手続きが異なる |
| 転校(同学年内) | 指導要録(法定で送付) / IEP(任意で再共有) | 転校先と新IEP作成 |
| 高→大学/就労 | IEPは原則ここで完結 / 本人の任意で大学・職場に開示 | 本人の自己開示判断 |
合理的配慮の根拠書類としてのIEP
2024年4月以降、私立を含む全ての学校に合理的配慮の提供義務が課されました。「板書をタブレットで撮影したい」「テストの時間延長」「別室受験」等を学校に申請する際、IEPに記載があると話が早く進みます。逆にIEPなしで配慮を求めても「前例がない」「他の子に説明できない」と渋られるケースがあります。
IEPは「学校にお願いするための交渉カード」でもあります。診断書や検査結果と並んで、具体的な配慮内容を文書化しておくと、担任が変わっても引き継がれます。
IEPを作ってもらえない/中身がスカスカな時の対応
- 学校の特別支援コーディネーターに「IEP作成を希望する」と明示的に伝える
- 通級指導教室を利用している場合は通級担当に依頼するのもルート
- 教育委員会(就学相談係)経由で学校に働きかけてもらう
- 児発・放デイの個別支援計画と相談支援事業所のサービス等利用計画を持参して土台にする
💡 お子さまが通っている児発・放デイにRootsの導入をリクエスト できます (匿名・無料)。事業所側でIEPと個別支援計画を連動させやすくなり、学校との情報共有もスムーズになります。
よくある質問
Q. IEPは通常級在籍でも作ってもらえる?
はい。IEPは支援級・通級在籍に限定されません。通常級でも合理的配慮が必要であれば作成対象になります。保護者から学校に「個別の教育支援計画を作成してほしい」と申し出るのがスタートです。
Q. 指導要録は開示請求できる?
可能です。公立校は個人情報保護法、私立校は各校の規程に基づき開示請求できます。学校所管の自治体の窓口(または校長宛て)に書面で申請します。ただし他児童の評価との比較記述等は黒塗りで開示される場合があります。
Q. 児発の個別支援計画をIEPに合体させて良い?
推奨されています。文部科学省も「教育と福祉の連携」を明示しており、保護者の同意のもと、児発の支援内容をIEPに転記して関係機関で共有することは適切な運用です。事業所と学校の連絡会で同席して確認するのが理想です。
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