保護者の方へ・基礎知識

学習障害(LD/SLD)の早期発見サイン — 年齢別チェックリストと相談先

LD(学習障害・限局性学習症 SLD)の早期発見サインを年齢別・領域別(読み・書き・計算)に整理。DSM-5-TR 基準、ディスレクシア・ディスグラフィア・ディスカリキュリアの違い、相談先と受診の流れまで保護者向けに解説します。

公開: 2026-05-29読了 約8

学習障害(LD)、最新の医学用語では限局性学習症(SLD: Specific Learning Disorder)は、知的発達に遅れがないのに「読む」「書く」「計算する」のいずれかが極端に苦手な状態です。早期に気づいて適切な支援を始めると、本人の自己肯定感を守ったまま学習を続けられます。

DSM-5-TR では、知的能力・全般的発達が年齢相応であるのに、特定の学習領域(読み・書き・算数)で年齢期待を有意に下回り、それが学校・職業・日常生活に支障を及ぼす状態を SLD と定義します。発症は学齢期で気づかれることがほとんどです。

3つのサブタイプ

サブタイプ別名主な症状
読みの障害ディスレクシア文字を音に変換しづらい、読みが遅い・間違う
書きの障害ディスグラフィア文字を覚えられない、形が崩れる、書き写しが苦手
算数の障害ディスカリキュリア数の概念・計算手順・暗算が極端に苦手

複数のサブタイプを併せ持つこともあり、ADHD や ASD と併存することも珍しくありません。

就学前(5-6歳)に見られるサイン

  • しりとりが極端に苦手(音韻意識の弱さ)
  • 同じ絵本を何度読んでもセリフを覚えない
  • 自分の名前のひらがなが書けない・形が崩れる
  • 「3つの中で1つだけ違うものはどれ?」が苦手
  • 左右・前後の区別がつきにくい
  • 指を使って数えるが、5以上の数の概念があいまい
  • 色・形の名前が定着しにくい

就学前のサインは「個人差」とも重なるため、診断は通常6-8歳以降になります。ただし保健センター・就学相談で早めに共有しておくと、入学後の支援がスムーズです。

小学校低学年(1-2年生)に見られるサイン

読みのサイン(ディスレクシア)

  • ひらがなの拾い読みが2年生になっても抜けない
  • 「、」「。」で区切れず、息継ぎが不自然
  • 助詞(は・が・を)を読み飛ばす・読み間違える
  • 「とり」を「とし」など似た文字に置き換える
  • 同じ行を2回読む・行を飛ばす
  • 音読の宿題を極端に嫌がる

書きのサイン(ディスグラフィア)

  • 鏡文字(さ↔ち、め↔ぬ など)が2年生以降も残る
  • マス目からはみ出す・大きさがバラバラ
  • 書き順がデタラメで覚えられない
  • 黒板を写すのが極端に遅い
  • 同じ漢字を何度書いても覚えられない
  • 作文で文が短く、語彙が広がらない

算数のサイン(ディスカリキュリア)

  • 指を使わないと一桁の足し算ができない
  • 繰り上がり・繰り下がりで混乱が続く
  • 時計が読めない・時間の感覚が育たない
  • お金の計算ができない(おつりが苦手)
  • 「数の大小」がわかりづらい
  • 文章題で何を問われているか把握できない

小学校中高学年(3-6年生)で目立ちやすいサイン

  • 読書を避ける、教科書を読みたがらない
  • 本人なりに頑張っているのに成績が「ある教科だけ」極端に低い
  • 宿題に何時間もかかる(他の子の3倍以上)
  • 「自分は頭が悪い」と言うようになる
  • 学校に行きたくないと言い出す(二次障害のサイン)
  • 体育・図工は普通にできる(=全体の知能ではない)

家庭でできる簡易チェック

チェック項目(小学2年想定)はいいいえ
「ありがとう」をすらすら読めるLD 疑い
自分の名前を漢字 or ひらがなで書けるLD 疑い
「3+5」を指を使わず答えられるLD 疑い
1分間で30字程度の音読ができるLD 疑い
黒板の文章をノートに写せるLD 疑い

このチェックは医学的診断ではありません。「いいえ」が複数ある場合は、学校の特別支援教育コーディネーター・小児神経科に相談してください。

相談先と診断までの流れ

  • 1. 担任 → 特別支援教育コーディネーターに相談
  • 2. 学校・教育委員会の就学相談センター
  • 3. 児童相談所・発達障害者支援センター
  • 4. 小児神経科・児童精神科を受診(知能検査 WISC-V、読み書き検査 STRAW-R など)
  • 5. 通級指導教室・特別支援学級・特別支援学校の検討
  • 6. 受給者証を取得して放課後等デイサービスを併用(学習特化型あり)

早期発見が大事な3つの理由

  • 【1】自己肯定感を守れる: 「努力が足りない」ではなく「やり方が合っていなかった」と理解できる
  • 【2】合理的配慮が受けられる: タブレット読み上げ・板書のプリント化・テスト時間延長など
  • 【3】二次障害を防げる: 不登校・うつ・不安症のリスクを大幅に下げられる

Roots を導入している学習支援型の放課後等デイでは、家庭での読み書き・計算のつまずきポイントを支援員と共有でき、学校・家庭・事業所で一貫した個別支援が組めます。

やってはいけない関わり

  • 「努力が足りない」と決めつけて叱る
  • 同学年の子と比較する
  • 読み書きの反復練習を「量」で押す(疲弊する)
  • 「家でちゃんと教えてください」と学校に責められても1人で抱え込まない
  • 診断を受けることに過剰に抵抗する(支援の入口が遠のく)

読み書き・計算のつまずきに対応した放デイをお探しの方は、Roots 導入施設にリクエストできます

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参考・引用

  • American Psychiatric Association (2022) DSM-5-TR — 限局性学習症(SLD)
  • 日本 LD 学会「LD の定義」
  • 文部科学省「小学校・中学校における LD・ADHD・高機能自閉症等の児童生徒への教育支援体制の整備のためのガイドライン」
  • 国立特別支援教育総合研究所「学習障害(LD)の理解と支援」
  • 日本ディスレクシア研究会

※ 本記事は2026年5月時点の情報に基づきます。制度・自治体の運用は変更される可能性があります。

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