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障害者手帳と療育手帳の使い分け — どっちを取る? 両方持てる?

身体障害者手帳・精神障害者保健福祉手帳・療育手帳の3種類を、対象・判定基準・取得メリット・更新ルールで完全比較。発達障害児は精神手帳? 療育手帳? 両方取れる? 学校・就職への影響まで保護者目線で解説します。

公開: 2026-05-31読了 約9

「療育手帳と障害者手帳って何が違うの?」「うちの子はADHDなんだけど、どっちを取ればいいの?」「両方持ってる人もいるって聞いたけど本当?」。発達に課題のあるお子さまの保護者からよく寄せられる質問です。実はこれらは別の制度であり、対象や用途が異なります。本記事では3種類の手帳を完全比較し、どれを取るべきかの判断軸を解説します。

結論: 知的障害なら療育手帳、発達障害(ASD・ADHD・LD)単独なら精神障害者保健福祉手帳、身体機能の障害なら身体障害者手帳。重複する場合は2種類の手帳を同時取得することも可能で、それぞれ違うメリットを享受できます。

3種類の手帳の全体像

まず、日本の障害者手帳には3種類あり、それぞれ根拠法・対象・判定機関が違います。「障害者手帳」というのは3種類の総称として使われることもあれば、身体障害者手帳のみを指すこともあります。

手帳名対象根拠法判定機関更新
身体障害者手帳身体機能の永続的障害(視覚・聴覚・肢体不自由・内部障害等)身体障害者福祉法指定医師の診断+自治体審査原則なし(再認定が必要な場合あり)
療育手帳知的障害(発達期に発生)療育手帳制度要綱(国の通知)児童相談所・知的障害者更生相談所原則あり(再判定 2〜10年ごと)
精神障害者保健福祉手帳精神障害(統合失調症・うつ・発達障害・てんかん等)精神保健福祉法医師の診断書+自治体審査2年ごとに更新

療育手帳 — 知的障害の証明

療育手帳は「知的障害がある」ことを公的に証明する手帳です。実は療育手帳は国の法律ではなく、各都道府県・政令市の要綱で運用されているため、判定基準・等級表記が地域によって少し異なります。

判定基準(おおまかな目安)

  • 重度(A・○A・1度): IQ概ね35以下
  • 中度(B・B1・2度): IQ概ね36-50
  • 軽度(C・B2・3度・4度): IQ概ね51-75
  • 18歳未満で発症した知的発達の遅れ+社会適応の困難

主なメリット

  • 所得税・住民税の障害者控除(27〜75万円)
  • 自動車税・自動車取得税の減免
  • JR・バス・タクシー運賃の割引(本人+介護者)
  • 公共施設・遊園地の入場料割引
  • 障害基礎年金の請求(20歳到達時)
  • 将来の就労支援・グループホーム等の福祉サービス利用

精神障害者保健福祉手帳 — 発達障害の証明

発達障害(ASD・ADHD・LD)は精神障害者保健福祉手帳(以下「精神手帳」)の対象です。知的障害を伴わない発達障害単独の場合、療育手帳ではなく精神手帳の取得を検討します。

判定基準

  • 1級: 日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度
  • 2級: 日常生活が著しい制限を受けるか、著しい制限を加えることを必要とする程度
  • 3級: 日常生活に著しい制限を受けないが、社会生活に制限あり
  • 医師の診断書(精神保健指定医・主治医)で初診から6ヶ月経過必要

主なメリット

  • 所得税・住民税の障害者控除
  • 自治体によって自動車税・公共料金等の減免
  • NHK受信料の減免
  • 就労時の「障害者雇用枠」の利用(本人成人後)
  • 精神通院医療(自立支援医療)との併用申請

精神手帳は2年ごとに更新申請が必要です。療育手帳のように発達期に取得すると永続するタイプとは異なり、診断書を都度提出する形式。子どもの場合、成人移行期の連続性に注意が必要です。

身体障害者手帳 — 身体機能の証明

身体機能(視覚・聴覚・肢体不自由・心臓・腎臓・呼吸器・膀胱直腸・小腸・免疫・肝臓等の内部障害)に永続的な障害がある場合、身体障害者手帳の対象です。重症心身障害児・脳性麻痺等で取得するケースが多いです。

等級は1〜6級(重い順)で、複数の障害が重複する場合は等級が上がります。発達障害単独では対象になりませんが、運動発達遅滞・てんかんに伴う身体障害がある場合は同時取得もあり得ます。

発達障害児の手帳選択フローチャート

お子さまの状態取得を検討する手帳
知的障害のみ(IQ75以下)療育手帳
ASD・ADHD単独で知的遅れなし精神障害者保健福祉手帳
知的障害+ASD/ADHD合併療育手帳(+必要に応じて精神手帳)
重症心身障害(身体+知的)身体障害者手帳+療育手帳
境界知能(IQ70-85)で生活困難精神手帳(自治体判断による)

複数手帳の同時保有 — メリットとデメリット

療育手帳+精神手帳のように、複数の手帳を同時に持つことは法的に可能です。それぞれ対象が違う制度なので、メリットも違います。

メリット

  • 療育手帳: JR等運賃割引が手厚い、永続的(知的障害は変動しにくい)
  • 精神手帳: 自立支援医療と連動申請しやすい、精神通院医療費を1割負担に
  • 行政手続きで「知的障害+精神障害」両方を証明できる
  • 将来の障害基礎年金請求で診断根拠を増やせる

デメリット

  • 更新・再判定の手間が増える(精神手帳2年、療育手帳2〜10年)
  • 同一の控除・割引は二重に受けられない(片方のみ適用)
  • 医師の診断書代が二重にかかる(精神手帳: 5,000〜10,000円程度)

手帳を取る・取らないの判断軸

手帳取得は保護者の任意です。「取れるなら取る」のが基本ですが、躊躇する保護者もいます。判断材料を整理します。

取った方が良いケース取らなくて良いケース(慎重判断)
通院・通所・送迎で公共交通機関を頻繁利用ほとんど通院・公共交通機関を使わない
将来の就労支援(障害者雇用)を視野に入れる進学・就職で「健常者ルート」を希望
特別児童扶養手当・障害児福祉手当を申請既に他の手当で十分対応している
きょうだい児がいて経済負担が大きい世帯所得が高く各種減免のメリット薄い
親が高齢化、子の将来の福祉サービス利用想定一時的な発達課題で改善見込み強い

誤解: 「手帳を取ると進学・就職で不利になる」というのは事実ではありません。手帳の有無は本人・保護者が任意で開示・非開示を選べ、学校・就職先には共有されません。情報は本人の同意なく漏れない仕組みです。

取得後にできなくなることはない

手帳を取ったから「健常者ルートに戻れない」「障害者と決定する」というのは誤解です。発達経過に応じて手帳の等級を下げる更新申請ができ、療育手帳は再判定で「該当しない」となれば返納も可能です。精神手帳は2年で自動失効するため、更新しなければ自然に手帳を持たない状態に戻ります。

申請の流れ(共通)

  • 1. 自治体の障害福祉課で申請書類を受け取る
  • 2. 指定の判定機関で発達検査・診断書を取得(療育手帳は児童相談所、精神手帳は医師)
  • 3. 申請書・診断書・写真を自治体に提出
  • 4. 判定結果が郵送で届く(1〜3ヶ月)
  • 5. 手帳交付・受け取り(自治体窓口または郵送)

💡 受給者証(通所支援)と手帳は別制度。受給者証は手帳がなくても取得可能で、児発・放デイの利用に手帳は必須ではありません。混同せずに分けて手続きを進めましょう。

よくある質問

Q. 療育手帳と精神手帳の両方を持っていると、控除も2倍受けられる?

いいえ、所得控除は「本人1人につき1控除」が原則です。等級が高い方の手帳で控除を受けます。ただしJR運賃割引(療育手帳)とNHK受信料減免(精神手帳)のように、別制度のメリットはそれぞれ利用できます。

Q. 子どもが小さくて精神手帳の診断書が出ないと言われました

精神手帳は初診から6ヶ月以上経過した時点での診断書が必要です。発達障害の確定診断は4-6歳頃に出るケースが多いため、それまでは療育手帳(知的を伴う場合)もしくは「将来取得」の前提で受給者証のみで対応します。

Q. 療育手帳の等級が変わると、もらえる手当も変わりますか?

はい、変わります。特別児童扶養手当・障害児福祉手当は等級と連動しており、重度になれば月3〜5万円増額するケースもあります。再判定で等級が変わったら、必ず自治体に手当の見直し申請をしましょう。

Q. 手帳を取らずに児発に通い続けることはできる?

できます。児発・放デイの利用要件は「通所受給者証」のみで、手帳は不要です。手帳取得のメリットは「税控除・運賃割引・各種手当」中心なので、必要性を感じた時に申請すれば問題ありません。

療育手帳の判定基準と取得方法を詳しく知りたい方はこちら

療育手帳取得ガイドを読む

参考・引用

  • 身体障害者福祉法 第15条(身体障害者手帳)
  • 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律 第45条(精神障害者保健福祉手帳)
  • 療育手帳制度について(昭和48年厚生事務次官通知)
  • 厚生労働省「障害者手帳について」(各種手帳制度の比較)

※ 本記事は2026年5月時点の情報に基づきます。制度・自治体の運用は変更される可能性があります。

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