保護者の方へ・基礎知識

通所受給者証と療育手帳の違い — 何が違って、両方必要なのか

「通所受給者証」と「療育手帳」を混同する保護者が多い。両者の根拠法・用途・取得方法・更新ルール・将来の影響を完全比較。療育手帳の取得タイミングと判定基準も実例で解説。

公開: 2026-05-29読了 約8

「通所受給者証」と「療育手帳」、名前が似ているため混同する保護者が非常に多い書類です。実はこの2つは根拠となる法律も、用途も、判定基準もまったく別の制度です。本記事では両者の違いを完全整理し、「両方必要なのか」「療育手帳は取らない方が良いのか」の判断軸を解説します。

結論: 児発・放デイの利用には「通所受給者証」が必要(全員必須)。「療育手帳」は知的障害がある子向けの福祉サービス・税控除等のための手帳で、取得は任意。

一目で分かる比較表

観点通所受給者証療育手帳
根拠児童福祉法厚生事務次官通知(法定外の都道府県制度)
正式名称障害児通所給付費等支給決定通知書療育手帳(東京は愛の手帳、青森はあいサポートカード等)
発行元市区町村都道府県・政令指定都市
対象発達課題のある0-18歳知的障害のある人(年齢制限なし)
判定基準医師の意見書・発達検査・聞き取りIQ・適応行動・面接調査
用途児発・放デイ等の利用福祉サービス・税控除・公共料金割引等
更新原則1年に1回原則2-10年に1回(年齢・等級による)
必須/任意児発・放デイ利用には必須任意取得

通所受給者証とは

通所受給者証は、児童発達支援・放課後等デイサービス・保育所等訪問支援等の「障害児通所支援」を利用するために必要な証書です。児童福祉法に基づく市区町村発行のもので、診断書がなくても医師の意見書から発行可能です。月の利用可能日数(支給量)が記載されています。

取得の流れ(7ステップ)

  • 保健センターに相談
  • 心理士・保健師との面談
  • 医師の意見書を取得
  • 障害福祉課に申請
  • 聞き取り調査
  • 支給決定 → 受給者証発行(申請から1-2ヶ月)
  • 事業所と契約

療育手帳とは

療育手帳は、知的障害がある人に対して都道府県・政令指定都市が独自に発行する手帳です。法律ではなく厚生事務次官通知に基づくため、自治体ごとに名称・等級・判定基準が異なります(東京都=愛の手帳、神奈川県=療育手帳 など)。

療育手帳の等級

区分IQ目安主な状態
A1(最重度)20以下常時介護を要する
A2(重度)21-35日常生活に常時援助を要する
B1(中度)36-50日常生活に部分的援助を要する
B2(軽度)51-75自立した日常生活が可能だが配慮を要する

上記は東京都(愛の手帳)の区分です。自治体ごとに等級名・基準が違うため、お住まいの地域の制度を確認してください。

療育手帳の取得ルート

  • 【ステップ1】 市区町村の障害福祉課に申請
  • 【ステップ2】 児童相談所(18歳未満)または知的障害者更生相談所(18歳以上)で判定
  • 【ステップ3】 心理判定(WISC・田中ビネー等の知能検査)
  • 【ステップ4】 適応行動評価・面接調査
  • 【ステップ5】 判定結果 → 手帳交付(申請から2-3ヶ月)

療育手帳のメリット

  • 【税制】 障害者控除・特別障害者控除(所得税・住民税の優遇)
  • 【交通】 JR運賃・バス・タクシー・航空機の割引
  • 【公共料金】 NHK受信料減免・携帯電話料金割引
  • 【医療】 自立支援医療・重度心身障害者医療費助成(自治体による)
  • 【手当】 特別児童扶養手当・障害児福祉手当の認定根拠

東京都(愛の手帳)の具体的優遇例

  • 都営交通(地下鉄・バス・都電)が本人無料
  • 都立施設(動物園・庭園・美術館等)入場無料
  • 所得税の特別障害者控除(40万円)
  • 住民税の障害者控除(26万円 or 30万円)
  • 自動車税の減免(本人または同居家族名義)

療育手帳の取得をためらう理由

療育手帳の取得を悩む保護者が抱える主な懸念点:

  • 「知的障害」と公的に判定されることへの心理的抵抗
  • 将来の就学・進学・就職への影響を懸念
  • 保護者が本人に伝えるタイミングが難しい
  • 一度取ると返納手続きが面倒なイメージ

療育手帳の所持は学校・就職先には自動的に通知されません。本人・保護者の任意で開示・非開示を選べます。また「やはり不要」と思った時点で返納できます(再取得も可能)。

取得を検討すべきタイミング

ライフステージ取得検討の動機
乳幼児期(0-3歳)特別児童扶養手当の申請に活用
未就学期(3-6歳)療育の支給量交渉・就学前判定の根拠
就学期(6-15歳)特別支援学校進学・障害児通学費補助の活用
思春期(15-18歳)高校進学・通学定期券割引
成人前(18歳)障害基礎年金申請の前段階・就労支援B型等の利用

療育手帳を取らずに済むケース

療育手帳の対象は知的障害があるお子様です。以下のケースでは療育手帳は取得できない・または対象外となります。

  • 高機能自閉スペクトラム症(IQ正常以上)
  • ADHD単独(知的遅れなし)
  • 学習障害(LD)単独
  • グレーゾーン(発達検査でIQ76以上)

上記のケースでは、代わりに「精神障害者保健福祉手帳」を取得できる場合があります。発達障害は精神障害者保健福祉手帳の対象になり、税控除等の優遇は同等に受けられます。

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よくある質問

Q. 受給者証だけで児発・放デイは使えますか?

はい、児発・放デイの利用には受給者証だけで十分です。療育手帳は不要です。

Q. 療育手帳を取ると児発の自己負担が下がりますか?

いいえ、児発・放デイの自己負担は世帯所得のみで決まります(0/4,600/37,200円)。療育手帳の有無は影響しません。

Q. 療育手帳を取った履歴は学校に通知されますか?

いいえ、自動通知はされません。本人・保護者の任意で学校に開示するかどうか決められます。

Q. 療育手帳の更新は必要ですか?

原則として等級・年齢に応じて2-10年ごとに再判定があります。「成長して状態が変わった」「等級を変更したい」場合は任意で再判定を申請できます。

療育手帳の取り方を詳しく

療育手帳ガイドを読む

参考・引用

  • 児童福祉法 第21条の5の3〜30(通所受給者証)
  • 療育手帳制度について(昭和48年厚生事務次官通知)
  • 厚生労働省 療育手帳の判定基準について

※ 本記事は2026年5月時点の情報に基づきます。制度・自治体の運用は変更される可能性があります。

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