制度・学術
個別支援計画の書き方と5領域記入例 — 児発・放デイ 実務テンプレ完全版
児発・放デイで必須の「個別支援計画」を、令和6年改定で標準化された5領域(健康・生活/運動・感覚/認知・行動/言語コミュニケーション/人間関係・社会性)に沿って完全解説。各領域の目標設定例と記入例文、6ヶ月モニタリングの注意点、よくある減算ケースまで。
個別支援計画は児童発達支援(児発)・放課後等デイサービス(放デイ)で児童一人ひとりに対して必ず作成すべき法定書類です。令和6年度改定では支援内容の標準化が進み、「5領域」に沿った計画作成が事実上の必須となりました。本記事ではガイドライン準拠の書き方と、各領域の具体的な記入例を実務目線で解説します。
個別支援計画とは何か
個別支援計画は、児童一人ひとりのアセスメント結果に基づき、「事業所が今後6ヶ月間で何を支援していくか」を文書化したものです。児発管が原案を作成し、保護者の同意署名を得て確定します。受給者証の有効期間と無関係に、初回作成から6ヶ月ごとにモニタリングと計画見直しを行う必要があります。
令和6年改定で標準化された「5領域」
こども家庭庁が令和6年7月に改定した「児童発達支援ガイドライン」「放課後等デイサービスガイドライン」では、本人支援を以下の5領域で構成することが標準とされました。
| No. | 領域名 | 内容(概要) |
|---|---|---|
| ① | 健康・生活 | 体調管理、食事、睡眠、排泄、衣服の着脱、基本的生活習慣の確立 |
| ② | 運動・感覚 | 粗大運動・微細運動、感覚調整(視覚・聴覚・触覚・前庭覚)、姿勢保持 |
| ③ | 認知・行動 | 注意・記憶・概念形成、適応的行動、問題解決スキル、行動調整 |
| ④ | 言語・コミュニケーション | 受容言語、表出言語、非言語コミュニケーション、AAC(代替・拡大コミュニケーション) |
| ⑤ | 人間関係・社会性 | 愛着形成、対人関係、集団参加、ルール理解、自己理解と他者理解 |
5領域すべてを満遍なく含める必要はありません。アセスメントで「特に支援が必要」と判断した領域に重点を置き、他領域は概況程度の記述でも構いません。
計画作成の流れ
- ①初回面談・アセスメント(保護者・本人へのヒアリング、行動観察)
- ②児発管がアセスメント結果を集約し、5領域の支援目標案を起草
- ③カンファレンス(管理者・児童指導員・保育士等で支援方針を擦り合わせ)
- ④保護者に計画案を説明 → 同意署名を取得
- ⑤計画交付(原本を事業所保管、写しを保護者交付)
- ⑥日々の支援記録に基づき、3ヶ月目に中間モニタリング、6ヶ月目に正式モニタリング → 計画見直し
5領域 記入例(児発・3歳児ケース)
①健康・生活
【現状】偏食があり、特定の食感(柔らかいもの)を強く拒否する。トイレトレーニング進行中で、日中はパンツでも夕方以降は失敗が多い。
【6ヶ月後の目標】食事場面で苦手な食感のものを最低3品試せるようになる(声かけと段階的暴露)。トイレでの排尿を1日3回以上自発的にできるようになる。
【支援内容】昼食時に視覚的支援(食材カード)を用いた事前説明 / トイレへの誘いを2時間おきにルーティン化 / 成功時の即時称賛と記録カード貼付。
②運動・感覚
【現状】粗大運動は同年齢相当だが、両手協調が必要な動作(はさみ、ボタンかけ)が苦手。触覚過敏があり、新しい素材に触れることを強く避ける。
【目標】片手で紙を支え、もう片手ではさみを操作する動作を10秒以上継続できる。触覚遊び(粘土・スライム)に5分以上自分から参加できる。
【支援内容】手指巧緻性遊び(粘土・ひも通し)を毎日10分実施 / 触覚遊びは「見るだけ」「触るだけ」と段階を分けて選択肢を提示。
③認知・行動
【現状】見立て遊びが広がり始めている。一方、自分の予定が崩れると強い不安からパニックを起こすことがある。
【目標】絵カード等の視覚的予定提示があれば、予定変更を受け入れて気持ちを切り替えられる。
【支援内容】1日のスケジュールを絵カードで提示し、変更時は新カードを差し替えながら事前説明 / 切り替えに使えるルーティン(深呼吸・好きな歌を歌う等)を一緒に練習。
④言語・コミュニケーション
【現状】受容言語は2語文を理解。表出語彙は約20語で、要求は「指さし+発声」が中心。
【目標】要求場面で「ちょうだい」「やって」など2語文を1日5回以上自発的に発する。
【支援内容】要求の機会を意図的に設定(好きな玩具を手の届かない場所に置く等) / 言葉のモデリング(本人の発声をそのまま繰り返し、語尾を発達段階に合わせて拡張)。
⑤人間関係・社会性
【現状】平行遊びが多く、他児への関心は持ち始めているが直接的な関わりは少ない。
【目標】他児と同じ玩具を介して、順番交代の遊び(例: ボール転がし)を3往復以上行える。
【支援内容】少人数(2-3人)グループでの構造化された遊び場面を設定 / 支援者が仲介役となり「次は○○くんの番だね」と順番を視覚化。
5領域 記入例(放デイ・小学2年生ケース)
放デイでは「学齢期の発達課題」+「学校生活との接続」が焦点になります。例えば認知・行動領域では「45分の学習時間に集中して取り組める」、人間関係・社会性領域では「グループ活動でリーダー役を担う経験を積む」など、生活年齢に応じた目標設定が重要です。
モニタリングの注意点
- モニタリング期間は「6ヶ月以内」厳守(過ぎると個別支援計画未作成減算の対象になり得る)
- 中間モニタリング(3ヶ月)を非公式に行うことで、6ヶ月の本モニタリング作成負担を軽減できる
- 目標の達成度は「達成」「一部達成」「未達」の3段階で評価し、未達の理由分析を必ず記載
- 保護者へのヒアリング結果を必ず反映(児発側の視点だけで完結させない)
- 次期計画では、達成済み目標は新しい段階に進め、未達目標は支援方法を見直して再設定
よくある減算ケース
- モニタリング期限(6ヶ月)を1日でも過ぎた状態で給付請求 → 未作成減算
- 保護者の同意署名がない計画で支援を実施 → 計画未作成扱い
- 5領域のうち、明らかに必要な領域に支援内容の記載がない → 実地指導で改善指導
- モニタリング記録が「変化なし」だけで、根拠となる行動観察記録がない → 不適切と判断
作成負担を軽減する3つのポイント
- 5領域テンプレートを事業所内で標準化し、児発管が一から書き起こす時間を削減
- アセスメント情報(発達検査結果、行動観察)を日々の記録から自動集約できるツールを活用
- モニタリング期限の自動アラート(3ヶ月前・1ヶ月前)で「うっかり未作成減算」を防止