制度・学術
集中的支援加算 — 強度行動障害児への手厚い支援を評価する令和6年新設加算の算定実務
令和6年度報酬改定で新設された「集中的支援加算」(強度行動障害児支援対応)の算定要件、対象児童(行動関連項目10点以上等)、報酬単位数、加算取得までの実務フロー、記録要件をオーナー・児発管目線で完全整理。
集中的支援加算は、強度行動障害を有する児童に対し、一定期間(おおむね3カ月)集中的かつ専門的な支援を提供する事業所を評価するため、令和6年度報酬改定で新設された加算です。従来の強度行動障害児支援加算が「日々の手厚い人員配置」を評価するのに対し、集中的支援加算は「短期集中での行動改善プログラム」を評価する設計となっており、単価が高い反面、要件・記録は厳格です。
加算の制度趣旨 — 従来加算との違い
| 加算 | 評価対象 | 算定期間 | 主な要件 |
|---|---|---|---|
| 強度行動障害児支援加算 | 日々の手厚い支援体制 | 常時(継続) | 研修修了者配置・対象児受入 |
| 集中的支援加算(新設) | 短期集中の行動改善プログラム | 原則3カ月以内 | 専門家関与・個別計画・記録 |
| 集中的支援加算(訪問型) | コンサル事業所からの訪問支援 | 原則3カ月以内 | 広域専門家チームの組成 |
対象児童 — 行動関連項目の基準
集中的支援加算の対象となる児童は、強度行動障害児支援加算と同様、障害支援区分の判定で用いる「行動関連項目」のスコアが一定以上である必要があります。さらに「集中的支援」の必要性が個別支援計画上で明確に位置づけられていることが要件です。
- 行動関連項目10点以上(強度行動障害判定基準)
- 5領域11項目(食事・睡眠・排泄・対人関係・コミュニケーション等)の評価
- 医療的ケアや精神科治療を要する併存症がある場合は別途記録
- 個別支援計画に「集中的支援が必要な期間と目標」が明記されていること
- 児発管・支援員・専門職による事前アセスメント結果の保管
算定要件(事業所側)
- 強度行動障害支援者養成研修(基礎・実践)修了者を一定数配置していること
- 広域専門家チーム(都道府県の中核的拠点機関等)との連携体制があること
- 集中的支援に係る個別支援計画を作成し、家族・関係機関に共有していること
- 日々の支援内容を「行動記録表」「ABC記録」等で詳細に記録すること
- 原則3カ月以内のプログラム期間で、評価・モニタリング・終了報告を行うこと
報酬単位数(令和6年4月時点)
| 区分 | 単位数(1日あたり) | 備考 |
|---|---|---|
| 集中的支援加算(児発・放デイ) | 1,000単位/日 | 対象児受入時 |
| 集中的支援加算(訪問型) | 1,000単位/回(訪問先事業所側) | コンサル受入時、月◯回上限 |
| 行動障害支援指導者養成研修 修了者配置 | 別途+加算 | 別建ての配置加算と併算定可 |
単位数は地域区分により単価が変動します。1単位=10円〜11.4円程度のため、1人1日10,000円超の上乗せ収入となるインパクトの大きい加算です。
加算取得の実務フロー
- 【Step 1】強度行動障害支援者養成研修(基礎・実践)を職員に受講させる
- 【Step 2】広域専門家チーム(都道府県設置の中核拠点)に連携の打診・覚書締結
- 【Step 3】対象児童の行動関連項目スコア・併存症情報を整理(受給者証で確認)
- 【Step 4】保護者・本人・関係機関を交えた個別支援計画の作成(集中的支援版)
- 【Step 5】自治体への加算届出(変更届)を提出
- 【Step 6】算定開始月の翌月10日までに国保連へ請求
記録要件 — 監査での確認ポイント
- 集中的支援に係る個別支援計画(目標・期間・評価方法を明記)
- 日々の行動記録(ABC記録・支援内容記録・行動の変化)
- 広域専門家との連携記録(訪問・電話・オンライン会議の日時と内容)
- 研修修了者の配置記録(出勤簿・シフト表・研修修了証コピー)
- 3カ月終了時の評価報告書(目標達成度・継続/終了判断)
- 家族との面談記録(進捗共有・本人状態の変化)
よくある不算定・返戻パターン
- 対象児の行動関連項目スコアが10点未満 → 不算定
- 研修修了者の配置が要件人数に満たない → 不算定
- 広域専門家との連携記録がない・形式的 → 監査で指摘
- 3カ月を超えて漫然と算定継続 → 過大算定として返戻
- 個別支援計画に「集中的支援」の位置づけ記載がない → 算定根拠なしと判断
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加算取得を狙う事業所の現実的ステップ
集中的支援加算は単価が高い反面、強度行動障害支援者養成研修(実践)修了者の確保、広域専門家チームとの連携、3カ月集中プログラムの設計・実行・評価という3つのハードルがあります。すでに強度行動障害児を受け入れている事業所であれば、研修修了者を1-2名確保し、都道府県の中核拠点との連携を確保することで取得可能ですが、ゼロから狙う場合は1年程度の準備期間を見込むのが現実的です。
都道府県別の広域専門家チーム
集中的支援加算の連携先となる「広域専門家チーム」は都道府県ごとに整備状況が異なります。東京都・神奈川県・大阪府・愛知県等の大都市圏では既に複数の拠点機関が稼働していますが、地方部では設置が遅れており、加算取得そのものが難しいエリアもあります。事業計画の段階で管轄都道府県の整備状況を確認することが重要です。