制度・学術
集中的支援加算とは — 強度行動障害児童への報酬上乗せ 算定要件と実務フロー
令和6年度改定で新設された「集中的支援加算」の算定要件、対象児童の判定(強度行動障害判定スコア)、必要な研修(強度行動障害支援者養成研修・実践研修)、加算申請の流れと記録要件を2026年最新版で完全解説。
集中的支援加算は、強度行動障害を有する児童に対する手厚い支援に対して報酬上乗せが行われる加算です。令和6年度報酬改定で創設され、児発・放デイともに対象。要件が複雑ですが、対象児童1人につき1日あたり数百単位の上乗せが見込めるため、強度行動障害児を受け入れている事業所では必ず押さえるべき加算です。
集中的支援加算の単位数
| 加算 | 単位 | 対象 |
|---|---|---|
| 集中的支援加算 | 1,000単位/日 (児童1人あたり) | 強度行動障害判定スコア20点以上 等 |
| 集中的支援加算(医療型併用) | 別途調整 | 医療的ケア児・重症心身障害児で行動障害を併発するケース |
1,000単位 = 約10,000円〜11,200円/日。1人あたり月20日通所で 約20万円〜22.4万円/月の上乗せ収益。
対象児童の判定基準
集中的支援加算の対象は「強度行動障害判定スコア」「行動関連項目スコア」の合計点で判定します。複数の判定軸があるため、自治体と相談しながら適切な評価を行います。
- 強度行動障害判定基準スコア(行動障害評価表)で10点以上
- 行動関連項目スコア(障害支援区分認定調査票)で10点以上
- 上記いずれかで20点以上、または特定の項目で重度判定
判定は通所給付決定時に市区町村が行うため、事業所側は児童の受給者証や決定通知書で「行動関連項目」を確認します。スコアの再評価が必要な場合は、自治体に意見書提出ができます。
事業所側の必須要件
- 強度行動障害支援者養成研修(基礎+実践)修了者を1名以上配置
- 対象児童ごとに「集中的支援計画」を別途作成(個別支援計画とは別書類)
- 医療機関・相談支援事業所・保護者・行政との連携体制を整備
- 支援内容・効果測定の月次記録を整理し、いつでも提出可能な状態にする
- 実施開始前に自治体へ算定届出を提出(後付け算定不可)
強度行動障害支援者養成研修(基礎・実践)
対象児童への支援にあたる職員は、厚生労働省告示に基づく「強度行動障害支援者養成研修」の修了が必須です。基礎研修(11時間程度)+実践研修(11時間程度)の2段階構成で、都道府県または指定研修機関が実施します。
| 区分 | 時間 | 内容 |
|---|---|---|
| 基礎研修 | 約11時間 (2日間) | 強度行動障害の理解・支援の基本姿勢・チーム支援 |
| 実践研修 | 約11時間 (2日間) | 具体的支援技術・行動分析・支援計画作成 |
研修は年間定員が限られており、申込み開始から数日で満席になる自治体も多い。年度前半に計画的な受講申込が必須。
集中的支援計画の構成要素
- 対象児童の基本情報と行動上の特徴(強度行動障害判定スコア記載)
- 行動の機能分析(ABC分析: 先行事象・行動・結果)
- 支援目標(短期・中期)と評価指標
- 具体的支援技術(構造化支援・視覚支援・トークンエコノミー等)
- 危機対応プロトコル(暴力的行動・自傷行動発生時の対応)
- 保護者との連携方針と家庭での般化計画
- 医療機関・他事業所との情報共有計画
- モニタリング頻度と評価方法(月次・3ヶ月・6ヶ月)
記録の取り方
集中的支援加算の算定根拠として、日々の支援記録を綿密に残す必要があります。特に「行動の頻度・強度」「実施した支援技術」「効果の有無」を構造化して記録することが、実地指導での説明責任を果たすうえで重要です。
- 行動記録: 「いつ・どこで・どんな行動が・どのくらいの強度で発生したか」を時系列で記録
- 支援記録: 「どのような支援技術を・どのタイミングで・どの結果になったか」
- 効果測定: 月次で行動頻度の推移グラフを作成
- 保護者報告: 月1回以上、家庭での状況を含めたフィードバックレポート
減算・算定停止のリスク
- 研修修了者の退職等で要件を満たさなくなった日から算定停止
- 集中的支援計画が作成・更新されていない期間は算定不可
- 対象児童の状態改善でスコアが下がった場合、次回受給者証更新時から対象外
- 記録の不備で実地指導で過誤調整となるケースあり
導入を検討すべき事業所の判断軸
- 現在受け入れている児童に強度行動障害判定スコア該当者がいる
- 研修修了予定者の確保見込みがある(または既に在籍)
- 集中的支援計画の作成・運用に要する児発管の時間を確保できる
- 保護者・医療機関との連携基盤がある
- 行動分析(ABC)を組織的に実施するノウハウまたは外部スーパーバイザーがある
これらの条件が揃わない事業所が無理に算定すると、記録不備・支援計画の質低下で実地指導での指摘を受けるリスクが高くなります。まずは基礎研修の受講と社内体制整備から始めるのが現実的です。