制度・学術
放課後等デイサービス・児童発達支援の送迎加算 要件と算定方法を完全解説 [2026年版]
送迎加算の算定要件・単位数・往復/片道の扱い、令和6年改定で変わった点、算定NGになるケース、こども家庭庁の置き去り防止対策と都条例§53までを2026年最新版で完全解説。算定漏れと過剰請求を一発で防ぐ早見表付き。
送迎加算は、児童発達支援(児発)・放課後等デイサービス(放デイ)で児童を自宅または学校などへ送迎した際に算定できる報酬加算です。多くの事業所で日々算定する加算ですが、算定要件の細部・記録の取り方・置き去り防止対応など、見落とすと算定停止や返戻になる落とし穴が多く存在します。本記事では2026年時点の最新ルールを完全整理します。
送迎加算の単位数(2026年現在)
| 区分 | 単位(片道) | 備考 |
|---|---|---|
| 児童発達支援(原則) | 54単位 | 区分なし |
| 放課後等デイサービス | 54単位 | 区分なし |
| 重症心身障害児(児発) | 37単位 + 重心送迎加算37単位 = 74単位 | 送迎車両に医療職同乗等の要件あり |
| 重症心身障害児(放デイ) | 37単位 + 重心送迎加算37単位 = 74単位 | 同上 |
| 医療的ケア児(看護職員加配) | 54単位 + 医療連携体制加算別途 | 別建てで算定 |
※ 1単位あたりの単価は地域区分(1〜7級地+その他)で10.00円〜11.20円。1日あたり最大「片道×2 = 往復」まで算定可能。
算定の基本要件
- 事業所の車両、または運転者・添乗者を別途確保した上で送迎を実施していること
- 送迎の出発・到着時刻、乗車児童、運転者、添乗者を記録(送迎記録簿/運行日誌等)
- 原則として「自宅 ⇔ 事業所」または「学校 ⇔ 事業所」が対象(放デイの学校発お迎えはOK)
- 保護者の自家用車送迎や、児童1人での通所では算定不可
- 同一敷地内・隣接施設からの移動は対象外(社会通念上「送迎」に当たらない距離は不可)
令和6年度報酬改定で変わった点
令和6年(2024年)4月の改定では、送迎加算自体の単位数は据え置きとなったものの、運用面で以下の重要な変更があります。
- 「保育所等及び認可外保育施設における送迎安全管理」の徹底通知(2023年4月施行)が継続して適用。降車時の児童確認義務・記録残し義務が事実上強化された
- 重症心身障害児の送迎加算が「重心送迎加算」として明確に区分され、看護職員の同乗有無で取り扱いが変わる
- 実地指導での送迎記録チェックが強化され、出発・到着時刻と乗車児童名が紐づかない記録は減算対象となる事例が増加
- 東京都など複数自治体で、置き去り防止チェックリストを送迎記録に組み込むことを要請
算定NGになる典型ケース
- 送迎記録簿に出発時刻だけがあり、到着時刻が記載されていない
- 運転者欄が常に「事業所車両」とだけ書かれていて個人氏名がない(誰が運転したか不明)
- 保護者の自家用車送迎にもかかわらず「事業所送迎」として算定している
- 同一建物内・隣接施設からの「移動」を送迎として算定している
- 欠席児童に対して「送迎を実施したことにして」算定している(実地指導で発覚すると過誤調整で全額返戻+悪質判断で指定取消の可能性も)
送迎記録は5年間の保管義務(児童福祉法施行規則)があります。紙の運行日誌のみの管理は紛失リスクが高く、デジタル化が推奨されます。
送迎安全管理(置き去り防止・都条例§53)
こども家庭庁は2023年4月、保育所等および類似事業を対象に「送迎を行う場合の安全管理の徹底について」を通知し、降車時の人数確認と置き去り防止策の徹底を求めています。児発・放デイも同等の措置が望まれます。
さらに東京都は「児童福祉施設の設備及び運営の基準に関する条例 第53条」で、児童の送迎中の安全管理を施設長の義務として明文化。降車時の児童確認手順、置き去り発生時の即時通報体制、送迎車両の点検記録までを事業所の標準業務とすることが求められます。
- 降車時に必ず「車内点検」を実施し、児童の置き去りがないか目視確認する
- 点検実施者の氏名と日時を送迎記録に残す
- 降車人数と乗車人数を照合し、差異があれば即座に運転者・管理者に通報
- 車両の座席下・後部座席の死角もすべて確認する
実務でよくあるQ&A
Q. 学校が休みの日の自宅お迎えと、放課後の学校お迎えは別に算定できる?
A. はい。同一日の中で「朝の自宅お迎え」「夕方の自宅送り」がそれぞれ片道として算定可能(合計2回まで)です。学校お迎えと自宅送りも同様に2回算定できますが、3回目以降は算定不可です。
Q. 1台に複数児童を乗せた場合、児童ごとに算定できる?
A. はい。送迎加算は「児童1人につき片道54単位」で算定するため、5人乗車させた便は5人分の算定が可能です。ただし送迎記録に全員の乗車有無を明記する必要があります。
Q. 添乗職員は必ず必要?
A. 児童の状態によります。基本的に運転者のみでの送迎も可能ですが、安全管理上、複数の児童を乗せる場合や年少児童・行動特性のある児童を含む場合は添乗職員を配置するのが望ましいです。重症心身障害児の送迎では看護職員等の同乗が報酬上の要件になります。
送迎業務をデジタル化するメリット
送迎加算の請求精度を高め、置き去り防止対策を確実に実施するには、紙の運行日誌から専用ツールへの移行が効果的です。専用ツールでは①出発・到着時刻の自動記録、②乗車児童の点呼チェックリスト、③降車時の車内点検モーダル、④保護者へのリアルタイム通知などが標準機能として備わっており、実地指導での記録不備リスクを大幅に下げられます。