制度・学術

令和6年度(2024年)障害福祉サービス等報酬改定 — 児発・放デイの論点整理

令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の児発・放デイ関連の主要論点を、5領域支援義務化・基本報酬時間区分化・処遇改善加算統合・強度行動障害児支援加算新設等の観点で整理。事業所経営への影響、職員のキャリアへの影響まで。

公開: 2026-05-19読了 約8

令和6年(2024年)4月、児童発達支援・放課後等デイサービスを含む障害福祉サービス等の報酬が3年ぶりに改定されました。本記事では、児発・放デイの主要論点を制度的観点で整理します。

改定の3つの大きな柱

  • 【1】5領域支援の義務化と総合支援型・特定プログラム特化型の区分
  • 【2】基本報酬の時間区分化(支援時間に応じた単価設定)
  • 【3】加算体系の再編(処遇改善一本化、強度行動障害児支援加算新設)

【柱1】5領域支援の義務化

児童発達支援ガイドライン・放課後等デイサービスガイドラインに示された「5領域(健康・生活/運動・感覚/認知・行動/言語・コミュニケーション/人間関係・社会性)」をカバーした個別支援計画の作成が、令和6年改定で実質的に義務化されました。

総合支援型と特定プログラム特化型

類型5領域カバー報酬構造
総合支援型5領域すべてを総合的に基本報酬を満額算定
特定プログラム特化型一部領域に特化(例: 言語のみ)基本報酬一部減算 + 専門加算で補填

この区分により、「ただ預かるだけ」の事業所、もしくは「楽器演奏のみ」「学習塾形式のみ」の特化型事業所は、基本報酬が減算されるか、専門加算で補填しなければ収益が減る構造になりました。

【柱2】基本報酬の時間区分化

令和6年改定までは「1回あたり同じ単価」でしたが、改定後は支援時間に応じた区分制になりました。

時間区分支援時間備考
区分130分超-1.5時間以下短時間支援
区分21.5時間超-3時間以下標準支援
区分33時間超長時間支援

短時間で多人数を回す「回転寿司型」事業所は基本報酬が減る一方、しっかり時間をかけて支援する事業所は高い単価で評価される構造になりました。

【柱3】加算体系の再編

処遇改善加算の一本化

従来「処遇改善加算」「特定処遇改善加算」「ベースアップ等支援加算」と3本立てだった処遇改善関連加算が、令和6年改定で一本化されました(新「福祉・介護職員等処遇改善加算」I-IV)。各事業所は要件を満たすI-IVのいずれかで算定。

加算区分算定要件(概要)加算率(児発)
Iキャリアパス全要件+月額賃金改善+他要件13.10%
III要件の一部緩和12.5%(目安)
IIIII要件のさらなる緩和11.4%(目安)
IVIII要件のさらなる緩和9.0%(目安)

強度行動障害児支援加算の新設

強度行動障害支援者養成研修(基礎・実践)を修了した職員を配置し、強度行動障害児を受け入れた場合に算定可能な「強度行動障害児支援加算」が新設されました。重度行動障害児を断らずに受け入れる事業所が経営的に成立する仕組みになります。

家族支援加算の再編

家族支援加算が「訪問支援」「拠点支援」「オンライン支援」の3区分に再編。きょうだい児支援も新たに対象化されました。在宅で支援が必要な家庭への対応が報酬上評価されるようになりました。

個別サポート加算(III)の新設

不登校児童・医療的ケア児等を主たる対象とした「個別サポート加算(III)」が新設されました。学校に行けない児童を放デイで受け入れ、関係機関との連携を行う場合に算定可能。

事業所経営への影響

  • 【プラス】強度行動障害児・医療ケア児を受け入れる事業所は単価UP
  • 【プラス】専門的支援(OT/PT/ST/心理士)実施事業所は加算で収益UP
  • 【プラス】家族支援を充実させる事業所は加算算定可能
  • 【マイナス】「ただ預かるだけ」の短時間多人数型は基本報酬減
  • 【マイナス】処遇改善加算の要件厳格化で、賃金体系整備が必要
  • 【マイナス】5領域すべてのプログラム設計に職員教育が必要

令和8年(2026年)6月の臨時改定

令和8年6月から、新規指定事業所の基本報酬が時限的に減算される臨時改定が予定されています(児発-1.2%程度・放デイ-1%程度、重度・離島除く)。事業所の新規参入抑制策の側面があります。

次回(令和9年=2027年)改定の予想論点

  • アウトカム指標(支援効果の客観的評価)との連動
  • 質の評価(第三者評価義務化拡大、自己評価の様式統一)
  • 児発管の専従要件厳格化
  • 不登校児童支援(個別サポート加算III)のさらなる拡充
  • 保育所等訪問支援の単価・回数制限の見直し

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参考・引用

  • こども家庭庁 令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要
  • 厚生労働省 障害福祉サービス等報酬改定検討チーム議事録

※ 本記事は2026-05-19時点の確認内容です。制度・自治体の運用は変更される可能性があります。

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