制度・学術

関係機関連携加算ⅠⅡⅢ 完全比較 — 児発・放デイの連携加算を取りこぼさず算定する実務(令和6年度改定後)

令和6年度報酬改定で再編された「関係機関連携加算Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ」を、対象機関・算定上限・必要書類・実務フローまで含めて完全比較。保育所等・学校・医療機関・児童相談所との連携をどう加算に変えるか、現場の記録運用までを児発管・管理者目線で実務的に解説。

公開: 2026-05-31読了 約11

関係機関連携加算は令和6年度報酬改定で大きく再編され、従来Ⅰ・Ⅱの2区分だったものに、医療機関・児童相談所等との連携を評価するⅢが新設されました。算定対象機関ごとに上限回数・必要書類が異なるため、現場では「どのケースでどの加算を取れるか」の判断と記録運用が肝になります。本稿は実務で取りこぼさず加算化する観点で、Ⅰ・Ⅱ・Ⅲを横並びで完全比較します。

本記事は令和6年度報酬改定後(令和6年4月以降)の現行制度に基づきます。地域単価(地域区分)による換算は管轄自治体の運用に従ってください。

関係機関連携加算 — 3区分の全体構造

関係機関連携加算は、児童発達支援・放課後等デイサービス事業所が、利用児童に関わる他機関(保育所・学校・医療機関等)と情報共有・支援方針のすり合わせを行った場合に算定できる加算です。「単に会議に出る」のではなく、「会議の開催または参加と、その内容を個別支援計画に反映させること」が算定要件の核となります。

区分対象機関算定単位算定上限主な要件
関係機関連携加算Ⅰ保育所・幼稚園・認定こども園・学校250単位/回同一機関につき月1回まで会議参加+情報共有+計画反映
関係機関連携加算Ⅱ就学先・就職先(進路移行時)200単位/回利用児童1人につき年2回まで就学・就労移行に関する引継ぎ
関係機関連携加算Ⅲ医療機関・児童相談所・要保護児童対策地域協議会等150単位/回同一機関につき月1回まで医療・福祉的支援に関する情報連携

関係機関連携加算Ⅰ — 保育所・学校との連携

Ⅰは最も算定頻度が高い加算で、利用児童が併行通園している保育所・幼稚園・認定こども園・学校の関係者と会議を開き、支援方針をすり合わせた場合に算定します。会議は事業所内・園内・学校内のいずれの場所で開催してもよく、対面・オンライン問わず算定可能ですが、書面のやり取りのみでは算定不可です。

  • 【参加者要件】事業所からは児発管が出席することが原則(管理者または保育士・児童指導員でも可だが児発管出席が確実)
  • 【記録要件】会議録(日時・場所・参加者・協議内容・合意事項)を残す
  • 【計画反映】会議内容を個別支援計画のモニタリング記録または計画変更に反映
  • 【保護者同意】情報共有について保護者から事前に書面同意を得る
  • 【算定上限】同一の連携先機関について月1回まで(複数の保育所等と連携している場合は機関ごとに月1回算定可)

「同一機関について月1回」が見落とされがちです。同じ保育園と月内に2回会議を開いても、加算算定は1回までです。一方、複数の保育園と連携している事業所では、機関ごとに月1回算定できるため、ペースの管理が大事です。

関係機関連携加算Ⅱ — 就学・就労移行時の連携

Ⅱは利用児童の進路移行時(小学校入学・中学校進学・高校進学・就労)に、移行先の機関との引継ぎ会議を実施した場合に算定します。Ⅰと異なり「利用児童1人につき年2回まで」と児童ベースで上限が定められており、卒業・進級のタイミングで丁寧に算定設計を行う必要があります。

  • 【典型シナリオ①】年長児の就学前の小学校との引継ぎ会議(年1-2回)
  • 【典型シナリオ②】小6・中3の進学先との引継ぎ会議
  • 【典型シナリオ③】高3利用児の就労移行支援事業所への引継ぎ会議
  • 【記録要件】引継ぎ資料(本人プロフィール・支援履歴・配慮事項)を作成して移行先に提供
  • 【保護者同意】個人情報の引継ぎについて保護者から書面同意を取得

関係機関連携加算Ⅲ — 医療機関・児童相談所等との連携

Ⅲは令和6年度改定で新設された区分で、利用児童に関わる医療機関(主治医・専門医)、児童相談所、要保護児童対策地域協議会(要対協)、児童発達支援センター(中核機能)等との情報連携を評価します。医療的ケア児・愛着障害ケース・要支援児童ケースを多く受け入れる事業所では算定機会が多くなります。

  • 【対象会議①】主治医カンファレンス(発達障害・てんかん・精神科主治医等との支援方針会議)
  • 【対象会議②】児童相談所との支援方針会議(児童虐待・養育困難ケース)
  • 【対象会議③】要対協個別ケース検討会議
  • 【対象会議④】児童発達支援センターが主催する地域支援会議
  • 【記録要件】会議録+事業所として実施する対応方針の文書化
  • 【単位数】150単位/回(ⅠⅡより低めだが新設区分として算定機会は広い)

要対協(要保護児童対策地域協議会)の個別ケース検討会議への参加は守秘義務が課されますが、加算算定上は会議録の様式を内部用に整理し、参加事実・協議内容の要旨を残す形で運用可能です。守秘義務違反にならない範囲で記録を整備してください。

Ⅰ・Ⅱ・Ⅲの併算定ルール

組合せ同日算定同一児童・別日算定備考
Ⅰ+Ⅱ×(同日不可)同一児童でも日が異なれば算定可
Ⅰ+Ⅲ×(同日不可)保育所連携と医療機関連携を別日に実施
Ⅱ+Ⅲ×(同日不可)就学先と医療機関を別日に実施
Ⅰ+Ⅰ(別機関)同日に複数の保育所と会議も可

記録運用 — 加算を取りこぼさない仕組み

関係機関連携加算は、現場で実施した連携活動が「記録に残っていないために算定漏れになる」ケースが非常に多い加算です。児発管が出席する会議だけでなく、ヘッドハント面談・電話相談・メール往復で実質的な支援方針すり合わせを行った場合も、要件を満たせば算定可能です。月次の児発管会議で「先月実施した連携を加算化できるか棚卸しする」運用を強く推奨します。

  • 会議実施日に「会議録テンプレート」を即日作成(後日作成は記録漏れの温床)
  • 会議参加者全員の所属・職種を記録(児発管出席を確認できる根拠)
  • 保護者同意書を初回利用時に包括取得(個別案件ごとに取り直しは現実的でない)
  • 個別支援計画への反映を「次のモニタリング」で必ず実施(計画反映の証跡)
  • 月次で「加算算定対象会議」を一覧化し、国保連請求前にチェック

実地指導でよく指摘される論点

  • 会議録に協議内容が記載されておらず「会議を開いた事実」しか残っていない
  • 個別支援計画への反映記録がなく、加算の趣旨(支援方針への反映)が満たされていない
  • 保護者同意書の有効期限が切れているのに連携を続けている
  • 同一機関に対して月2回算定している(上限超過)
  • 児発管以外の職員のみが出席している(運用上は児発管出席が望ましい)

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年間収入インパクト試算

定員10名・月20日稼働の事業所が、関係機関連携加算Ⅰを月平均5回(児童5名×月1回)算定した場合、年間で(250単位×5回×12ヶ月×10円=)15万円のインパクトとなります。Ⅱ・Ⅲを合わせて月10回算定する事業所では年間30万円超になり、児発管1名分の人件費の一部をカバーできる規模になります。

取りこぼしを防ぐ運用フロー

  • ①月初に「今月連携予定の機関リスト」を児発管が作成
  • ②会議実施日に当日中に会議録を起票(議事録テンプレートを定型化)
  • ③次回モニタリング時に個別支援計画へ反映
  • ④月末に「加算算定可能リスト」を作成し国保連請求担当に共有
  • ⑤実地指導に備えて連携機関・年月日・参加者・協議内容・反映先を一覧化

令和8年度改定での見直し議論

社会保障審議会では、関係機関連携加算について(1)Ⅲの単位数引上げ、(2)継続的な連携を評価する「関係機関連携継続加算」の新設、(3)児童発達支援センター主催の地域支援会議への参加を別建てで評価する仕組み、等が議論されています。連携加算は今後さらに重要性が増す加算群であり、いまから運用ルーチンを整備しておくことが令和8年度改定後の経営優位につながります。

参考・引用

  • こども家庭庁「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定について」(留意事項通知)
  • 厚生労働省告示「障害児通所給付費等単位数表」(児童発達支援・放課後等デイサービス)
  • 令和6年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容(本体資料)
  • こども家庭庁「障害児通所支援事業所と保育所等の連携に係るガイドライン」
  • 社会保障審議会 障害者部会 報酬改定検討チーム 議事録

※ 本記事は2026年5月時点の情報に基づきます。制度・自治体の運用は変更される可能性があります。

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