制度・学術
個別サポート加算(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ) — 重度児童・虐待ケース・要保護児童への加算
個別サポート加算Ⅰ(重度児童)、Ⅱ(虐待を受けた児童等)、Ⅲ(要保護児童・要支援児童)の算定要件、対象児童の判定、記録要件、月の算定上限を完全解説。
公開: 2026-05-23読了 約7分
個別サポート加算は、特に手厚い支援が必要な児童に対する事業所の取り組みを評価する加算です。重度の障害がある児童、虐待を受けた児童、要保護・要支援児童など、状況別に3区分(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ)が設けられています。本記事では各区分の対象と算定要件を整理します。
加算の区分と単位数
| 区分 | 単位/日(対象児童1人あたり) | 対象 |
|---|---|---|
| 加算Ⅰ | 120単位 | 重度児童(食事・排泄・入浴・移動の介助多くを要する) |
| 加算Ⅱ | 125単位 | 虐待を受けた児童・養育困難な家庭の児童 |
| 加算Ⅲ | 70単位 | 要保護児童・要支援児童(児童福祉法定義) |
【加算Ⅰ】 重度児童への加算
対象児童の判定
- 医療的ケアスコア16点以上
- 食事・排泄・入浴・移動のすべてに全面介助が必要
- 判定は市区町村の認定または事業所の客観評価による
算定要件
- 対象児童に対する個別支援計画に重度児童支援の位置づけ明記
- 専門的支援(看護師・PT/OT等)体制の整備
- 日々の介助内容を支援記録に詳細記録
【加算Ⅱ】 虐待・養育困難児童への加算
対象児童の判定
- 児童相談所等から「虐待を受けた児童」と判定された
- 家庭の養育能力に課題があり、児発・放デイでの支援が特に必要
- 保護者の同意+児童相談所等の関係機関からの情報共有
算定要件
- 児童相談所・要保護児童対策地域協議会との連携体制
- 個別支援計画に虐待後ケア・愛着形成支援の位置づけ
- 心理的ケアを担う職員(公認心理師・臨床心理士等)の関与
- 通所中の児童の様子(身体的痕跡・情緒の変化)を細やかに記録
【加算Ⅲ】 要保護・要支援児童への加算
対象児童の判定
- 児童福祉法に定める「要保護児童」または「要支援児童」に該当
- 要保護児童対策地域協議会(要対協)で支援対象とされた児童
- 家庭環境の変化(離婚・経済的困窮等)で養育に困難が生じている
算定要件
- 要対協への参加(または情報提供)
- 個別支援計画に家庭支援の位置づけ
- 保護者支援(面談・電話相談)の実施
- 月次で児童の生活状況をモニタリング
同時算定の可否
- 加算Ⅰ・Ⅱ・Ⅲは併用可能(対象児童が複数要件を満たす場合)
- 同一児童に加算Ⅱ+Ⅲを同時算定 → 可能
- 加配加算・専門的支援加算とも併用可能
記録要件
- 対象児童の判定根拠(認定書類・要対協議事録等)
- 個別支援計画への記載
- 日々の支援記録(児童の状態・行動・支援内容)
- 関係機関連携記録(児童相談所・要対協等)
- 保護者対応記録
よくある誤算定
- 対象児童の客観的判定根拠なしに算定
- 保護者の同意なしに加算Ⅱ・Ⅲを算定
- 個別支援計画への記載が「重度児童支援」等の抽象表現のみ
- 関係機関連携の実態がないまま加算Ⅲ算定
実務での運用
個別サポート加算は、児童・家庭の困難な事情にきめ細かく寄り添う事業所の活動を評価する加算です。算定するだけでなく、対象児童・家庭への支援の質を高めることが本質的な目的であり、関係機関との連携体制構築と職員の専門性向上が並行して必要です。