制度・学術

モニタリングは電話で可能か 児発・放デイ|実施方法と記録

個別支援計画のモニタリングを電話やオンラインで実施してよいかを、原則の考え方・記録に残すべき項目・6か月以内の期日管理の順に整理しました。対面が難しいときの代替手段、保護者の状況把握の書き方、運営指導で見られるポイントを児発管向けに解説。取り扱いの最終確認は指定権者へ。

公開: 2026-05-26読了 約8

「モニタリングは電話で実施してよいか」は、児発・放デイの児発管から特に多い質問です。結論を先に述べると、モニタリングは実施方法(電話・オンライン・対面)そのものよりも、6か月以内に確実に実施できているか(頻度)と、達成状況・保護者の状況を根拠まで記録に残せているか(質)の両方が問われます。本記事では、モニタリングの原則、電話・オンライン実施の考え方、記録に残すべき項目、6か月以内の期日管理、運営指導で見られる点の順に、児発管が迷いやすいところを整理します。実施方法の可否は自治体(指定権者)の解釈により差があるため、最終的な取り扱いはお住まいの地域の指定権者へご確認ください。

この記事は「電話・オンライン実施の可否と記録の残し方」に特化しています。モニタリングの頻度体系・減算・記入例の全体像は「児発・放デイのモニタリング完全ガイド」で解説しています。本記事とあわせてお読みください。

モニタリングは頻度と質の両方が問われる

モニタリングは、児童発達支援管理責任者(児発管)が個別支援計画に基づく支援の実施状況を継続的に把握し、必要に応じて計画を見直す業務です。ここで押さえたいのは、「電話か対面か」という手段の議論に入る前に、そもそもモニタリングには2つの評価軸があるということです。

  • 頻度: 少なくとも6か月に1回以上、確実に実施できているか(運営基準の要件)
  • 質: 目標の達成状況、根拠となる本人の行動、保護者・本人の意向を記録に残せているか

電話やオンラインで実施したこと自体が問題になるのではなく、この2軸を満たせていないことが指摘につながります。手段を選ぶ判断も、「6か月以内の期日を守れるか」「必要な情報を確認し記録に残せるか」を基準に考えると整理しやすくなります。

モニタリングの原則(何を確認するか・6か月以内の期日)

モニタリングの根拠は、「児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準」(平成24年厚生労働省令第15号)第27条です。児発管の業務として、支援の実施状況の把握と、少なくとも6か月に1回以上の計画の見直しが定められています。まず確認すべき事項を整理します。

  • 個別支援計画に掲げた目標ごとの達成状況(達成・一部達成・未達)
  • 本人の発達・生活・行動の変化(通所中の様子、家庭・学校での様子)
  • 保護者・本人の意向や困りごとの変化
  • 支援内容・目標の妥当性(継続でよいか、見直しが必要か)

「6か月に1回以上」は「6か月以内に1回」という意味です。前回モニタリングの実施日から起算して6か月を超えないよう、期日管理を児発管の定常業務に組み込むことが前提になります。

こども家庭庁「児童発達支援ガイドライン」「放課後等デイサービスガイドライン」(いずれも令和6年7月)でも、モニタリングは計画・実施・評価・見直しの一連のプロセスとして位置づけられています。3か月程度での中間的な見直しが望ましいとされている点も、あわせて確認しておくとよいでしょう。

電話・オンライン実施の考え方(対面が難しいとき)

では本題の「電話で実施してよいか」です。ここは断定を避けて丁寧に説明します。運営基準やガイドラインは、モニタリングにあたって本人・家族の状況を把握することを求めていますが、実施手段(対面・電話・オンライン)を条文で一律に定めているわけではありません。一般的な実務上の理解としては、本人の表情や様子の観察を伴う計画の見直しは対面が基本とされ、電話・オンラインを代替手段として認めるかどうかや、その条件は、指定権者(都道府県・指定都市・中核市)の解釈により差があります。

「電話だけで毎回のモニタリングを完結してよい」と断定できるものではありません。実施方法の可否・条件は指定権者の解釈によります。運用を決める前に、必ず地域の指定権者(自治体の障害児通所支援担当課)にご確認ください。

対面が難しい場面は現場で確かに起こります。感染症の流行期、保護者が就労等で来所日程を合わせにくい、遠方への転居前後、きょうだいの体調などです。こうしたときに実施を先延ばしにして6か月を超えてしまうより、代替手段の可否をあらかじめ指定権者に確認しておき、期日を守る方が現実的です。手段を検討する際の考え方を整理します。

場面手段の考え方留意点
計画の見直しを伴う定例のモニタリング対面を基本に検討本人の様子の観察や保護者との丁寧なやり取りが必要になりやすいため
対面日程がどうしても合わない電話・オンラインの可否を指定権者に確認認められる条件・記録要件を事前に把握しておく
感染症流行期など来所を控えたいとき電話・オンラインを検討やむを得ない事情と判断の経緯も記録に残す
送迎時の立ち話・連絡帳でのやり取り補助情報として記録正式なモニタリングの代替として単独で扱わない

オンライン(ビデオ通話)は、画面越しでも表情や様子をある程度確認できる点で電話より情報量が多く、対面が難しいときの選択肢になり得ます。ただしこれも「対面に準ずるものとして認めるか」は指定権者の判断によるため、事前確認は同様に必要です。

記録に残すべき項目(達成度・根拠行動・保護者の言葉)

電話・オンラインで実施した場合こそ、記録の質が重要になります。対面と違い、後から様子を振り返る材料が記録だけになりやすいためです。個別支援計画のモニタリング記録には、次の項目を残しておくと、運営指導の際にも実施の事実と内容を説明しやすくなります。

  • 実施日・実施方法(対面/電話/オンラインの別)・所要時間
  • 対応した児発管の氏名、参加者(本人・保護者・関係機関など)
  • 目標ごとの達成状況(達成・一部達成・未達)
  • 達成状況の根拠となる具体的な本人の行動・エピソード(「〜ができるようになった」だけで終わらせない)
  • 保護者・本人の言葉(意向・困りごと・要望をそのまま引用する)
  • 今後の方針(継続・修正・新目標の設定)と、計画見直しの要否

電話・オンラインで実施したときは、「実施方法」欄に対面ではない旨と、対面が難しかった事情を一言添えておくと、判断の経緯が記録から追えます。事実を隠すのではなく、正直に残すことが記録の信頼性につながります。

保護者の状況把握の書き方

電話やオンラインは、保護者の様子を対面ほど観察しにくい分、「何を聞き取り、どう答えたか」を言葉で残すことが記録の中心になります。保護者の発言を要約しすぎず、できるだけ具体的な言い回しで記録すると、次期計画の根拠として説明しやすくなります。

  • 悪い例: 「家庭でも順調とのこと」(抽象的で根拠が読み取れない)
  • 良い例: 保護者「家でも『おかわり』と言えるようになった。次は2語で気持ちを言えるとうれしい」
  • 困りごとがある場合も同様に、保護者の言葉のまま記録し、事業所としての対応方針を続けて書く

期日管理(6か月以内を超えない運用)

電話・オンライン実施の可否を検討する背景には、多くの場合「対面日程が合わず6か月を超えそう」という期日の問題があります。実施方法の工夫と同じくらい、期日を超えない仕組みづくりが大切です。

  • 全利用児の「次回モニタリング期限」を一覧化し、児発管・管理者で共有する
  • 期限の1〜2か月前を目安に、対面日程の調整を始める(逆算で動く)
  • 対面日程がどうしても合わないときの代替手段(電話・オンライン)の可否を、あらかじめ指定権者に確認しておく
  • 実施したら実施日・方法をすぐ記録し、次回期限を再計算する

モニタリングが6か月以内に実施できていない、または期限内に個別支援計画を作成できていない場合は、個別支援計画未作成減算の対象となる場合があります。減算率や適用の詳細は報酬告示・各自治体の運用によるため、期日管理は児発管の最重要業務のひとつとして扱うことをおすすめします。

期限一覧はエクセルでも管理できますが、利用児が増えるほど手作業では抜け漏れが起きやすくなります。次回期限の自動計算やアラートで期日を可視化できると、電話・オンラインという手段の判断も「間に合わせるため」ではなく「本人にとって適切な方法か」で選べるようになります。

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運営指導で見られる点

運営指導(実地指導)では、モニタリングについて次のような点が確認されることがあります。電話・オンラインで実施している場合でも、これらを記録から説明できる状態になっていれば、実施方法そのものが直ちに問題視されるわけではありません。

  • 前回計画から6か月以内にモニタリングが実施されているか(実施日で確認)
  • 実施方法(対面・電話・オンライン)が記録に明記されているか
  • 目標ごとの達成状況と、その根拠が具体的に記録されているか
  • 保護者・本人の意向が反映され、必要に応じて計画が見直されているか
  • 達成状況が「達成」ばかりで不自然になっていないか(未達も正直に記録されているか)

本記事はモニタリングの実施方法・記録の一般的な考え方を整理したものです。電話・オンライン実施の可否や条件、記録の要件は自治体によって解釈が異なります。実際の運用を決める前に、様式・受理を含めた取り扱いの最終確認は、必ず指定権者(都道府県・指定都市・中核市)へ行ってください。

参考・引用

  • 児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成24年厚生労働省令第15号) 第27条
  • こども家庭庁「児童発達支援ガイドライン」(令和6年7月)
  • こども家庭庁「放課後等デイサービスガイドライン」(令和6年7月)
  • こども家庭庁「障害児通所支援における個別支援計画の作成等に係る留意事項」ほか運営基準の解釈通知

※ 本記事は2026年5月時点の情報に基づきます。制度・自治体の運用は変更される可能性があります。

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