制度・学術
専門的支援加算 完全ガイド — 公認心理師・PT・OT・ST 配置で月いくら上乗せ?
令和6年度改定で大きく変わった「専門的支援加算」と「専門的支援体制加算」の違い、対象職種(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・心理担当職員・看護師)、算定単位、加配加算Ⅱとの重複算定可否を2026年最新版で完全整理。
令和6年度改定で「専門的支援加算」が大きく見直されました。理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)・公認心理師・看護師などの専門職を配置すると、児発・放デイで大きな報酬上乗せが期待できます。本記事では算定要件と他加算との関係を整理します。
令和6年改定で何が変わったのか
改定前は「専門的支援加算」(月単位の加算)が主軸でしたが、令和6年4月から「専門的支援体制加算」(配置に対する加算)と「専門的支援実施加算」(個別実施に対する加算)の2段構成へ再編されました。専門職を配置するだけでなく「実際に専門的支援を実施した児童・回数」に応じて算定する仕組みに変わったのが大きなポイントです。
専門的支援体制加算(配置型)
| 区分 | 単位 | 配置職員 |
|---|---|---|
| Ⅰ | 120単位/日 | 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・心理担当職員・看護師 など 常勤換算1.0以上 |
| Ⅱ | 60単位/日 | 常勤換算 0.5〜1.0未満 |
対象事業所の全利用児童に対して算定可能。月20日開所なら、Ⅰの場合 120 × 20 = 2,400単位/月 × 利用児童数 が上乗せ。
専門的支援実施加算(実施型)
体制加算とは別に、対象児童に対して個別または小集団で専門職が直接支援を実施した場合に算定可能。
| 実施形態 | 単位/回 | 備考 |
|---|---|---|
| 個別実施 | 150単位/回 | 1対1の個別セッション |
| 小集団実施(2-5人) | 80単位/回 | 同一専門職による小集団支援 |
個別実施は同一児童に対して月4回まで算定可能。小集団は月8回まで(自治体により差異あり)。
対象となる専門職一覧
- 理学療法士(PT) — 粗大運動・姿勢保持・移動能力の支援
- 作業療法士(OT) — 手指巧緻性・感覚統合・ADL支援
- 言語聴覚士(ST) — 発語・嚥下・コミュニケーション支援
- 公認心理師 / 臨床心理士 — 行動分析・心理アセスメント・保護者支援
- 看護師 / 保健師 — 医療的ケア・健康管理(医療連携体制加算と重複不可)
- 視覚障害者生活訓練指導員 / 手話通訳士 — 該当児童がいる場合
加配加算Ⅱとの関係(重複算定可否)
よくある質問: 「専門職を配置していると、加配加算Ⅱ + 専門的支援体制加算 + 専門的支援実施加算 を全部算定できるか?」答えは「条件次第で可能」です。
- 加配加算Ⅱ(その他職員加配): 同一職員でも算定可能(基準を超えた配置として)
- 専門的支援体制加算: 同一職員で算定可能(専門職としての配置)
- 専門的支援実施加算: 個別実施した回数分のみ算定可能
ただし「同じ業務時間を二重カウントしてはいけない」のが鉄則。例えばOTが児童1人を1時間個別支援した時間は、その時間内に他児童への加配業務を兼ねていない前提で実施加算を算定する。
算定例(月収益シミュレーション)
パターンA: OT常勤1名配置の児発(定員10名)
- 体制加算Ⅰ: 120単位 × 月20日 × 利用児童10名 = 24,000単位 ≒ 240,000〜268,800円
- 実施加算(個別): 150単位 × 月平均30回 = 4,500単位 ≒ 45,000〜50,400円
- 加配加算Ⅱ: 187単位 × 20日 = 3,740単位 ≒ 37,400〜41,888円
- 合計上乗せ: 約 322,400〜361,088円/月
パターンB: 公認心理師 週2日(常勤換算0.5)+ ST 週3日(常勤換算0.7)
- 体制加算Ⅱ(心理): 60単位 × 20日 × 利用児童10名 = 12,000単位
- 体制加算Ⅱ(ST): 60単位 × 20日 × 利用児童10名 = 12,000単位
- ※同一の体制加算は最大1区分のみ算定可。実際は職種ごとに別建てではなく「最も常勤換算が高い職種」で1本算定
- 実施加算(個別): 150単位 × 月平均40回 = 6,000単位
体制加算は事業所単位で1本のみ算定可能(複数の専門職を配置していても加算は重複しない)。一方、実施加算は職種・回数ごとに別建てで算定可能。
記録要件
- 専門職の配置届出を自治体へ提出済みであること
- 専門職の勤務実態(タイムカード)を保管
- 実施加算分は「いつ・誰が・誰に・何分・どんな内容を実施したか」のセッション記録を1件ずつ作成
- セッション記録には支援目標(個別支援計画と整合)、実施内容、効果評価を含める
- 医療職(看護師)は他加算(医療連携体制加算等)との重複可否を毎月確認
よくある算定ミス
- 専門職配置だけで実施加算を算定している(個別セッション記録がない)
- 体制加算を複数職種分重複算定している(本来は1区分のみ)
- 医療連携体制加算と看護師の専門的支援加算を重複算定している(返戻リスク)
- 小集団実施で人数構成が要件を超えている(6人以上を小集団としている等)
導入準備チェックリスト
- 配置予定の専門職と雇用契約を締結(常勤換算0.5以上が最低条件)
- 事業所の運営規程・重要事項説明書に専門職の名称と役割を追記
- 自治体への変更届出(配置届+加算届)を実施月の前月末までに提出
- 個別支援計画に専門的支援の位置づけを明記
- 日々のセッション記録テンプレを作成
- 社労士・行政書士と算定要件の最終チェック