制度・学術

処遇改善加算 完全ガイド [2026年版] — 区分Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ の要件と申請手順

令和6年改定で3区分に統合された処遇改善加算(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ)の算定要件、賃金改善計画書・実績報告書の作成、職場環境要件、上位区分への移行ステップを完全解説。

公開: 2026-05-23読了 約9分

処遇改善加算は、児発・放デイなど障害福祉サービスで職員の賃金改善を促す制度です。令和6年6月から「処遇改善加算Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ」の3区分に統合され、従来の処遇改善加算+特定処遇改善加算+ベースアップ等支援加算が一本化されました。本記事では新制度の要件と運用ポイントを完全整理します。

令和6年改定での統合

旧区分(R6.5まで)新区分(R6.6から)
処遇改善加算Ⅰ + 特定処遇改善加算Ⅰ + ベア加算処遇改善加算Ⅰ
処遇改善加算Ⅰ + 特定処遇改善加算Ⅱ + ベア加算処遇改善加算Ⅱ
処遇改善加算Ⅰ + 特定処遇改善加算なし + ベア加算処遇改善加算Ⅲ

加算率(令和8年度・児童発達支援の場合)

令和8年6月からは、加算Ⅰ・Ⅱがそれぞれ「イ」「ロ」に分かれ、Ⅰイ・Ⅰロ・Ⅱイ・Ⅱロ・Ⅲ・Ⅳ の6区分になりました。児童発達支援の加算率は次のとおりです(所定単位数に対する割合)。

  • 処遇改善加算Ⅰイ: 15.2%
  • 処遇改善加算Ⅰロ: 15.8%
  • 処遇改善加算Ⅱイ: 14.9%
  • 処遇改善加算Ⅱロ: 15.5%
  • 処遇改善加算Ⅲ: 13.9%
  • 処遇改善加算Ⅳ: 11.7%

上記は令和8年度・児童発達支援の場合の加算率です。年度・サービス種別(放課後等デイサービス、保育所等訪問支援 ほか)によって率は異なります。適用される率と算定の可否は、こども家庭庁の報酬改定資料と所管自治体の通知書でご確認ください。

算定要件(共通)

  • 【1】賃金改善計画書を毎年作成し、自治体に届出
  • 【2】賃金改善計画に基づき、福祉・介護職員の給与を改善
  • 【3】職員への計画内容の周知
  • 【4】キャリアパス要件(就業規則等で資格・経験に応じた賃金体系を整備)
  • 【5】職場環境要件(下記参照)を一定数満たす
  • 【6】年度末に実績報告書を提出

区分別の追加要件

処遇改善加算Ⅰ(最上位)

  • キャリアパス要件: Ⅰ + Ⅱ + Ⅲ 全て充足
  • 職場環境要件: 6カテゴリ全てから1項目以上選択 + 計6項目以上実施
  • 月額8万円以上の改善 or 改善後の賃金が年額440万円以上の介護福祉士等を1人以上配置
  • 見える化要件: 賃金改善内容を事業所HP等で公表

処遇改善加算Ⅱ

  • キャリアパス要件: Ⅰ + Ⅱ または Ⅰ + Ⅲ
  • 職場環境要件: 6カテゴリから合計5項目以上実施

処遇改善加算Ⅲ(最も取りやすい)

  • キャリアパス要件: Ⅰ または Ⅱ
  • 職場環境要件: 6カテゴリから合計4項目以上実施

キャリアパス要件(3種類)

  • 【要件Ⅰ】 任用要件と賃金体系の整備 → 経験・資格による賃金区分が就業規則等で明文化
  • 【要件Ⅱ】 資質向上の機会の確保 → 研修計画の策定と実施
  • 【要件Ⅲ】 経験・資格等に応じた昇給の仕組み → 昇給ルールの整備

職場環境要件(6カテゴリ)

  • ①入職促進に向けた取組(採用活動・就職フェア参加等)
  • ②資質の向上・キャリアアップに向けた支援(研修費補助・資格取得支援)
  • ③両立支援・多様な働き方の推進(育休・短時間勤務制度)
  • ④腰痛を含む心身の健康管理(健診費補助・ストレスチェック)
  • ⑤生産性向上のための業務改善(ICT導入・業務マニュアル整備)
  • ⑥やりがい・働きがいの醸成(キャリア面談・表彰制度)

対象となる職員

  • 対象: 福祉・介護職員(児童指導員・保育士・看護職員・機能訓練担当職員等)
  • 対象外: 管理者(専従) ・ 事務員(支援業務に関わらない場合) ・ 法人本部の職員
  • 法人内で複数事業所を運営する場合は、事業所ごとに対象職員を整理

賃金改善の方法

  • 基本給の引上げ(最も望ましい・職員へのインパクト大)
  • 賞与・一時金の増額
  • 手当の新設・増額(処遇改善手当等の名目)
  • 退職金制度の充実
  • ※ 単年度の一時金のみは「持続性が低い」と評価される可能性あり

申請の年間スケジュール

  • 【2月末】 次年度の計画書を自治体に提出(自治体により4月末締切も)
  • 【4月】 加算算定開始
  • 【翌年7月末】 前年度の実績報告書を提出
  • 【随時】 計画変更があれば変更届を提出

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よくある減算・返戻リスク

  • 計画書記載の改善額と実際の改善額が一致しない → 差額返戻
  • 対象職員の範囲を間違えて広げすぎている(管理者を含める等)→ 過大算定
  • 職場環境要件の実施記録(研修出席簿・面談記録)が示せない
  • 実績報告書を期限内に提出しない → 加算停止

上位区分への移行戦略

現在Ⅲを算定中でも、職場環境要件と賃金改善メニューを充実させればⅡ→Ⅰへ段階的に上げることが可能です。上位区分への移行は月収数十万円のインパクトがあるため、年単位での計画的取り組みを推奨します。

  • 【Step 1】 職場環境要件の充足項目数を増やす(研修制度・キャリア面談等)
  • 【Step 2】 キャリアパス要件Ⅲ(昇給ルール)を就業規則に追加
  • 【Step 3】 見える化要件として事業所HPで賃金改善内容を公表
  • 【Step 4】 月額8万円改善 or 年額440万円以上の介護福祉士配置を達成

参考・引用

  • •令和6年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容
  • •厚生労働省「福祉・介護職員処遇改善加算等」関連通知

※ 本記事は2026-05-23時点の確認内容です。制度・自治体の運用は変更される可能性があります。

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